フランチャイズ契約の考察

図解即戦力 契約書の読み方と作成がこれ1冊でしっかりわかる本 単行本(ソフトカバー) – 2024/1/27 太田 大三 (著), 堀口 佐耶香 (著), 尾臺 知弘 (著), 高橋 香菜 (著)

 契約当事者は、フランチャイザー(特権を与える者)本部とフランチャイジー(特権を与えられる者)加盟店・加盟者。一般的な契約より条項が多く、本部がかなり有利な契約である。フランチャイズ本部は、現在大小1282件ある。外食・サービス・小売りが大半である。

 ある程度事業が成功してノウハウが構築されると、フランチャイズ化して加盟店を募集する。そのメリットは、自己資金をかけずに多数の店舗を展開でき、加盟料、ロイヤリティーなどの収入が得られる。(本来なら、店舗予定地域にリサーチかけ、立地のいい不動産を探して、契約して、内装外装工事して、機具やレイアウトを整え、水道高熱契約して、従業員を求人して、面接して、雇用契約して、社会保険手続きをして、トレーナーを派遣して、研修して、商品を納入して、広告をかけて、営業開始。順調に売り上げを伸ばせばいいですが、不振で閉店になると、従業員の転勤など面談して、店舗の現状回復の為、内装外装工事、不動産契約の解除して撤退。開店準備から閉店作業まで全て自己資金や借り入れで負担しなくてはならない。)

 フランチャイザーのコストは、管理コスト、研修コスト、指導フォローコスト。希望者と面接して、決めて、契約して、研修して終わりではなく、加盟者に寄り添っていかなくてはならない。

 紛争に至る最大の原因は、「予想通りに売上が上がらない事」

 勧誘する時、ハッピーシナリオの売上予測(右肩上がりの売上グラフ)を基に事業計画書を提示して、加盟者に厳しい契約書に署名捺印を促したのかもしれません。
 本部の言う通り加盟金を払って、研修を受けて計画通りに売上が上がらない。それで加盟店は、本部と険悪になり、契約を無視して勝手にやるようになり、大きなトラブルとなる。事業継続が不可能になり、解約違約金とかもあり訴訟となる場合がある。

 広告のモデル月商は、以下となることが多い。しかし、広告の加盟金、保証金、研修費、工事費、備品費用の金額は、ほぼ確実に出るお金。それに加えて家賃、ロイヤルティー、水道光熱費、原価の固定費も必ず出ていく運営費。しかも人件費にオーナーの給料が入っているのか?もしモデルケースのように月商が上がっても、営業利益は、税引き前の利益で、オーナー自身の家賃、もしくは住宅ローン、社会保険料、教育費、食費など支払うと非常にマズい事になる。広告のモデルケースは、月商はあくまでモデルケースだが、支出項目は確定した支払となる。月商が想定より低くなると、すべて数字が倒れる。撤退にも、ノウハウの開示を受けた手前、違約金が発生する。

 本部の提供する売上シュミレーションは、必ず「売上を保証するものではありません」という文言が入っています。また、地域性、近隣の競合、認知度などから、本部のノウハウの再現性が、シュミレーションのグラフ通りいかないのも大いにあり得ます。
 しかし、その地域にあったやり方を練って、加盟店側の努力と本部の手厚いサポートというもので、売り上げを作っていくというのが本来のフランチャイズです。

  トラブル事例
 本部のビジネスモデルが、不明瞭。マニュアルも大雑把で再現性がなく売上アップに繋がらない。指導人員も足りていない。「加盟金目的」入金後、形だけの研修とサポート。放置気味。

 直営店の利益率が8%で儲かっているのでFCに入りませんか?加盟金が300万円、ロイヤリティーが8%。「直営は8%ですが、もっと伸びていけば繁盛店になるとセールストーク」信用して加入。マニュアルもしっかりしていて、研修も充実していて、いざ開店。集客もうまくいって、利益率8%を達成。しかし、開店のセールから落ち着いて、利益率が4%~6%の推移するようになっていた。ロイヤリティーを払うと0か赤字になってしまう。こういう状況が続き・・・
 しばらく後、本部から提案がなされる。「赤字が続いていますね・・本来なら撤退も考えなくてはなりませんね。我々の力不足もあります。今月限りの提案なんですが(期限を区切る。2~3週間)解約違約金を本来300万円を0円にして、この店舗を300万円で買い取ります。」という提案をする。毎月0か赤字の仕事に疲弊して、提案を受ける。本人は、1000万円以上店舗にかけたが、違約金300万円払わずに済み、300万円で本部が買い取ってくれる。競合避止義務を24か月を負うが、撤退できたと安堵する。
 これは最初から、本部が得する合法的なスキーム。その加盟店が繁盛して10%以上利益率を出せば、ロイヤリティーで利益を得る。反対に赤字なら、買い取って直営店にして4~6%の利益率の店舗を維持する。直営店舗にロイヤリティーは不要。また利益率を上げない為に契約で仕入れ先を指定する。その仕入れ先と本部は繋がっていて仕入れ品の値段を高めに設定する。売り上げに重石をして置く。直営店になったと同時に重石を外して利益率を上げる。

 得るはずだった違約金は契約上の数字。買い取った代金の300万円の原資は、もともと加盟店が支払った加盟料。右に行こうが、左に行こうが儲かるようなフランチャイズ契約を基にしたスキーム。

 資料や契約書をよく読み解く事の大切さ。そして、現地調査。繁盛店に行ってリサーチをする。そこがメンドクサイとかで、カットすると、経営もうまくいくとは、懐疑的になる。

 トラブルの多い契約です。「契約を急かしたり」「絶対」ってワードが出て来たら要注意です。更に中小小売商業振興法で定めている主な事前開示事項
① チェーン本部の概要(株主、子会社、財務状況、店舗数の推移、訴訟件数等)
② 契約内容のうち加盟者に特別な義務を課すもの等、加盟者にとって重要な事項
○テリトリー権の有無
○競業避止義務、守秘義務の有無
○加盟金、ロイヤルティの計算方法など金銭に関すること
○商品、 原材料などの取引条件に関すること
○契約期間、 更新条件、 契約解除等に関することなどです

  上記を踏まえて
「みんコレ!」の「契約前にフランチャイズ本部へ質問すべき15のこと~保存版~」

  最低限の調査事項です。

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