フランチャイズ研究会 中小企業診断士 山岡雄己先生の誌上講義
飲食事業を始めてうまくいく。従業員に暖簾分けしてその店もうまくいく。ひょっとするとFC(フランチャイズ)すれば、加盟金とロイヤリティーが入ってもっと拡大できるのでは? それでFCの本部を立ち上げて加盟店を募集しよう。
FC(フランチャイズ)ビジネスの基本は「契約」です。本部は加盟者にFCパッケージを提供する対価として加盟金やロイヤリティーなどの収入を得ます。役務の提供①商標使用許諾 ②商品取引 ③開業プロヂュース ④経営指導。FCは繁盛実績のあるビジネスモデルを拡大する為の手法です。本部は10店を超えるまで儲からないと言われてます。FCパッケージ(内装、外装、デザイン、発注業者、店舗基本レイアウト、看板、制服デザイン、食器、レジ又は食券機、メニュー表、厨房機器、設備、調理方法、・・・)
FC本部が販売するのはノウハウです。外食店の売り物は、味、空間、接客。確かに、心地よい場所で、美味しいものを感じの良い店員さんに提供されると、来た時よりも元気になってお店を後にできます。反対に掃除をしてない汚れの目立つ不潔なお店で、美味しくない料理を感じの悪いブスッとして返事もしない店員に提供されても、ゲンナリして店を後にするでしょう。
本部構築には、内側の仕事と外側の仕事がある。内側の仕事は、チェーン展開の仕組みを作る事。ノウハウ販売なのだから、マニュアルや教育カリキュラムなどのシステムに高い完成度が求められる。例えば、マニュアルは1つひとつの作業方法を定める「標準化」と、複数の作業を同時に進める方法を定める「仕組化」を経て制作します。その際、「カリキュラム化」と「システム化」までをひと括りに捉える事がポイント。
外部の仕事は、加盟店開発と加盟店教育【開店前研修とスーパーバイジング(加盟店がフランチャイザーのノウハウに従って経営しているかどうかをチェックすること)】立ち上げ時の本部には、そのノウハウが蓄えられていません。属人的なパワーをフルに投入して成功させ、科学的根拠に基づいた支援ができる体制を段階的に整えていく。
その手段として直営店(標準店)を出して、フランチャイズ加盟店1号として(出店した風にやる)、どこで、なにを、どう売るか」というコンセプトを基に立地や規模、メニュー、オペレーションなどを固めていきます。いろいろなノウハウを蓄積していく。(経験のないオーナーさんだとして、マニュアルを基に同じ味に持って行けるように「ブラックボックスのタレは本部から購入」、仕入先の確認、やることが沢山あり、その他いろいろ問題も起こる。例えばクレーム対応など。
利益が出せるように持って行って、一定期間(1年程度)検証する。問題を抽出して、検証して解決策を出す。その束がFCの店舗運営のノウハウとなる。FCに加盟しないと得られないノウハウを蓄積する。店舗を出す「立地」、営業経験がないとわからない。
そして、フランチャイズの理念の構築。この仕事に対する意義、人と世の中への貢献。反論や反発や揶揄、マイナスの感情が起きようがないスローガン的なもの。人を動かす理念、疲れを癒す理念など。ピュアな感じ。
スーパーバイザー(チェーン店本部のスタッフとして加盟店を巡回し、本部の経営方針の実行状況を確認し、加盟店への助言をする。不満を吸い上げ本部との橋渡しの役目)の養成。加盟者に対しての話し方、接し方、教え方などトレーナーを兼ねる場合が多い。
加盟条件の決定 加盟金をいくらに設定するか、法人限定にするのか、反対に個人限定にするのか、フランチャイズが拡大した場合の想定と対応を最初に決めておく。
そしてフランチャイズ契約書と法定開示書の作成。出店場所を調査して決まってから契約。
オーナー募集。面接(誰が面接するのか?)~契約。
FC本部立ち上げに必要な費用
(加盟店募集のパンフレット、ホームページ、会社案内の作成費用)~100万円
各種マニュアル作成費用(オペレーションマニュアル、店長業務マニュアル、人事管理・衛生管理マニュアル、危機管理・金銭管理マニュアル、オープンマニュアル、加盟店開発マニュアル) ~500万円
法務手続きに関する費用(契約書作成、法定開示書面作成費用、商標登録費用)~100万円
システム設計・開発費用(システム機器を含む)~100万円
フランチャイズ本部オフィス整備費用(本部オフィス開設、応接設備、専属スッタフの人件費)~500万円
フランチャイズ事業説明会・フェアなどの出店費用 1回数十万円
費用の次は収入
FC本部の収益源(加盟金、補償金、ロイヤリティー、商品マージン、建設費マージン、研修費、システム使用料)
加盟店開発・・・「ターゲット」「募集エリア」「告知方法」を明確にしたマーケティング計画を策定し、効果測定する体制を作る。
加盟店教育・・・メインは開店前研修とSV. 特に重要なのが、開業前の店舗マネジメント研修とマネージャ向けオペレーション研修。ポイントは、現場責任者に作業を「教えるスキル」を習得させる事。そして「SV」・・・ノウハウ提供のコントロール、コンサル、プロモーション。関係構築機能のコミュニケーション、カウンセリング、コーディネーション。
最後にFC契約書に盛り込む事項・・・基本事項(契約の目的、加盟金、保証金、手数料、契約期間、経営責任) 契約による権利・義務(本部が提供するもの、商標、経営ノウハウ、経営支援、ロイヤリティー、テリトリー権、禁止行為、有害行為、商標ノウハウの契約外使用、競業禁止)開店(店舗の仕様、変更時の措置、開店前研修、開店準備、許認可など電気水道など含む、開店の不許可) 店舗の運営(営業日数、営業時間、仕入れ及び販売方法、経営責任、雇用、仕入れ、販売、クレーム処理、運営支援、SV派遣、取引の記録、会計帳簿、保険加入、店舗の保守修繕) 契約の終了(開店前解約、中途解約、違約金、解除、解除損害金、店舗の消滅、加盟者死亡による契約終了、更新、再契約、終了時の措置、貸与物の返還、原状回復負担など) 一般事項(契約地位の移転禁止、秘密保持、個人情報保護、損害賠償、遅延損害金、日割り計算、消費税、印紙税、通知方法、裁判管轄) 用語の解説(契約書の用語の定義)
黄色マーカーは法定開示書の記載事項
契約書作成には、本部を立ち上げて、構想から数年後に準備が整ってから、加盟者を募集して、そして店舗を決めてから、一般的に契約を交わします。
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