フリーランスの契約書

業務委託契約書作成のポイント〈第2版〉近藤 圭介 編著

フリーランス人口は、462万人という。データ入力、コールセンター、イラストレーター、カメラマン、プログラム、システム設計、Webデザイナー、Webサイト制作、コンサル、飲食、配達、建設などに従事し、法律用語で「特定受注事業者」と表される。
一人社長と従業員のいない個人事業主をいう。

 39.2%およそ4割の方が不払い、支払い遅延を経験され、44.4%取引条件や業務内容が示されていない、不十分な示され方をされている。

 「特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律」(フリーランス・事業者間取引適正化等法)がもうすぐ施行されるが、義務付けられる事の一つは、「発注内容について書面や電子メールでの提示が求められる」取引条件の明示義務は、フリーランスが発注者側の場合も適用される。

 取引条件の明示は、取引の基本的な事で発注者と受注者双方が、取引条件を確認する事で取引トラブルの未然の防止につながるメリットがある。支払などは、納品から最大60日までのできるだけ早い期日、下請法がベースとなっています。受託者が再委託した場合は、修正項目ありです。

 業務委託基本契約書について

 その都度発注(個別契約)では、表示に適さない継続的に取引するお互いのルールを「基本契約書」という。まず業務内容の1文で表し、続いて「業務委託基本契約書」と題名を表記する。例)〇〇システム開発基本契約書

 前文で当事者の会社名、名前を「甲、乙」に、〇〇システム開発基本契約書を「本契約」にショート表示する。そして、目的。どのような業務が委託されているのかしっかい表記する。あと、委託者が甲なら、「甲は乙に必要な協力を行う」と必ず表記する。指示を求めてメールして、返事が遅いと仕事が進まない。遅くて締め切りが伸ばせないとスケジュールが圧迫されて間に合わない。

 個別契約である仕様書の決まり。個別契約が成立する段取り、個別契約と基本契約が違った場合の取り扱い。主流は、個別契約を優先する。又は基本契約を優先、発注者の担当による書面による承諾によって個別契約を優先するなど

 契約期間、30日前に双方から意思表示なければ自動延長。料金、消費税込みか税別か、支払い時期と支払方法。次は「着手金」できれば製作費の半分程度。委託者も支払が発生していればダラダラ進めない。

 協力義務。この条項はとても大事。こちらも誠実に仕事しますから、レスを延び延びになって締め切りが超過しても、損害賠償は負いません。委託者が原因で業務遂行困難にならない為迅速的確に対応して下さい。

 納品。何をもって納品とするのか?決めておく。プログラム開発は、全ての工程が終了したら納品と定義して、その後の保守は、別契約で開始されるのが通常です。

 返品、追加作業。返品はできないものとし、最初に決めた仕様書、業務内容とは別の作業は、追加業務としてお見積りを提示する。これを入れてないと、委託者の思い付きでどんどん作業が積み上がっていく。一線を引かないとマズい。委託者の側としては、「~に付随する業務」と幅を持たせる業務内容とする。曖昧な幅を持たせるべきだが、受託者は、なるべく業務の特定に努める。

 契約不適合責任。ITシステム関係は所有権移転から30日と決める事が多く。次の保守管理契約(アフターサービス)で対処します。ハグがないのに変更、修正は有料です。要相談で表記を考えます。こういう所が、テンプレートでは対処できないポイントです。

 著作権。揉める事が多い所です。著作権は作った会社のものです。「支払によって委託者に移転する。」とするのか、「自由に使える通常実施権を許諾する」のか決めなくてはなりません。通常実施権は契約が終了すると終わってしまう恐れがあります。他でも使うツールなら著作権は譲渡したくないし、悩ましい権利です。委託者側から言えば、「著作人格権は行使しない」と入れる必要があります。

 そして、知的財産権の帰属、再委託の取り扱い、秘密保持、不可抗力、損害賠償(委託料相当額を累積限度額とする。)これを入れておかないと大変な事になります。30万円の仕事で300万円請求されたら・・・ただ、故意重過失があると裁判所は、上限条項を無視するので

 契約の解除、誠実協議、裁判所管轄。反社条項は入れておいた方がいいかな?契約解除の条項に「その他契約を継続し難い事由の発生」でいいかな。

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