新版 すぐに使える 不動産契約書式例60選: 契約実務に必ず役立つチェック・ポイントを注書 単行本 – 2023/12/16 黒沢泰 (著)
不動産会社に仲介を依頼をすれば、宅建士が不動産売買契約書を用意し(宅建協会の会員はハトサポというサイトから契約書を入手できる)、重要事項説明などをする為の調査もしてくれる。しかし、仲介手数料は、3%+6万円+消費税(3000万円の物件で105.6万円)
ただし売主から直接、不動産を購入する場合は仲介手数料を支払う必要はない。そこで、以下の文章は「不動産会社を間に入れず、売主と直接取引をしよう。」というお客様向けの内容と致します。
新築住宅(完成から1年以上経ってない、まだだれも居住したことのない物件)は建設会社と不動産会社が売りにだすので、対象は、中古戸建と中古マンションで話を進めます。
「中古戸建」
予算があって気になった物件があったら、内見の前に現地調査。昼と夜の2回は必ず。所在地の昼の顔、夜の顔がある。駅から何分(15分以上あると売る時たいへん)、坂はあるのか、買い物に不自由しないか、夜の明かりはどうか、騒音出す人いないか、物件は4m道路に2m以上接しているか(建築基準法第43条)、私道負担は(入り組んだ道路で行き止まりの場合など、管轄の役所等の建築指導課に聞く。それは内見の後でよい)、住んでいる人はオーナー(売主)か賃借人か、境界標(境界に矢印が彫ってある石など)があるか、越境してる樹木があるか、擁壁があるか(水抜き口確認)など
現地調査をクリアしたら、内見の申込。売主に会ったら、「どうして今回売りにだされたのですか?」と売却理由を軽くポンっと聞いてみる。正直な人なら「いや~近隣と揉めて・・・」トラブル含みなら、ご自身で住むなら。ほどほどに内見して帰られて、諦めた方がいいです。
「外側」。外壁の痛み具合、基礎にヒビが入ってないか、ガスは都市ガス、プロパン、オール電化、温水器(一般的に耐用年数10年、取り替えると25万円以上)、敷地内に越境物はないか、傾いてないか、そして「室内」へ、全部の部屋を体重乗せて歩く(メシメシと沈まないか、床が腐蝕してないか)、全ての扉を開ける(開けずらい、引き戸が引きずらい、詰まれば、家が傾いているか歪んでいる可能性)、天井クロスの確認(染みてたり、特に角が染みてたりは雨漏り)、匂いもかぐ(カビ臭い)、水回り設備(給水器の調子や耐用年数、蛇口、流しの下の排水管、トイレに水漏れはないか、風呂)エアコンの製造年を確認(耐用年数)
そして権利関係。法務局(不動産の所在地の管轄)で登記簿謄本(全部事項証明書)を手数料を払い入手する(行ってもいいし、オンラインで郵送してもらってもよい。契約書に記入する地番なので必ず必要)。行くなら公図、地積測量図もあれば入手する。登記簿謄本には、3つのカテゴリーがある。表題部、甲区、乙区がある。表題部に所在地(住所番号とは違う場合あり)、甲区(所有権、過去と現在の所有者)、乙区(所有権以外の権利、抵当権など)所有者確認。所有者(名義人)でない人と(仲介不動産屋さん以外)話を進めても、危ない。(本人の親戚とか友人とかおかしい)。そして乙区、抵当権が付いていたら、個人間売買は避けた方がいい。本来、抵当権を抹消してから、売却と同時に抹消が最低ライン。売主と買主以外にお金を貸してる人(銀行など)第三者がいるので、三者で話をまとめないといけない。抵当権が乙区に書いてあると、買ってしばらくして、売主が支払を止めると抵当権実行されて所有権を失う場合がある。又は、抵当権消滅請求という手続きで、購入代金の他、更に抵当権者(銀行など)に支払わなければ、完全な所有権を得られない。
世の中いろんな人がいるから、売手が抵当権を外す手続きをしないで、「絶対迷惑をかけない。払ってきたので、これからも払う。給料明細と念書を入れる」とか言われたら、拒否して撤退しなければならない。
次に市役所に行って、都市計画課で市街化調整区域に入ってないか確認。物件が再建築できるか確認。続いて、登記簿謄本を持参の上、建蔽率、容積率を確認して建築基準法に違反してないか確認。建て直しの予定もなく、売る予定もなくても、住宅ローンの融資条件の一つに担保評価という項目があり、建築基準法に違反してるとマズい訳です。ローンを使えない物件だと、基本現金で決済しないといけない。
登記簿謄本を見て問題がなければ、「売りましょう、買いましょう」と合意したら、契約書を作成して、契約事項と決済引渡しについて話し合う。
注意点
「境界」 未確定な場合、売主に隣の住人と合意して、境界確定書を作ってもらう。引っ越した後で買主がやる場合、交渉力がどうしても、売主に比べ弱いです。揉めたら、長引きます。前の家主との長い人間関係の上許容していた越境物も、新たな家主には、許容する理由がありません。また、境界線は、双方の所有者の合意で動かせませんが、所有権のラインは、双方の所有者の合意で動かせます。更に善意なら10年、それ以外なら20年で時効所得がかかります。本来なら時効所得後に分筆登記して所有権移転登記するのですが、登記は第三者に主張する場合で、当事者なら登記不要です。新たな買主は、第三者ではなく特定継承人で当事者という事になります。
境界は、お金といっしょで、感情と密接に結びついてますから、売主の責任なのでお願いしましょう。
「契約不適合責任」 契約の目的欄の充実が重要。「転売する目的」と記せば、契約書に「再建築不可」(現行建築基準法違反物件)など住宅ローンが通らない情報を載せていなかった場合に売主の責任が問える。あと契約の目的が「居住目的」で居住に支障がある不具合があって、契約書に記されていない場合など。任意規定なので中古住宅は、契約不適合責任を負わないと条項に記す事も多くあります。期間は、個人間で引き渡しから3か月が多い。築年数が古く、修繕管理がよろしくないと、不具合も多いかと。事前に出来るだけ調べ、売主によく聞いて、契約するなら契約するしかない。
「値段」 まず近隣の同じくらいの条件で物件検索をしてみる。それで値段がかなり安いのは、それなりの理由がある。お買い得と受け止めてすぐ契約しないように。早くしないと売れてしまう。自分の都合しか考えられない人は、落とし穴に嵌りやすい。 旧建築基準法で建てた家で、現行再建築不可。銀行ローンが使えなくて、現金一括しか売れない。修繕も管理も不十分で、水道管、排水管の30年の寿命がきて漏れている。屋上の防水シートが古くて、張替が必要で、雨漏りしてる。建物は、住めず解体費用を引いた土地の値段。買った値段と同じくらいのリフォーム代がかかる。水回りの設備を総取り換え。決済が済んで「しまった」と後悔しても遅い。個人間で取引する以上、浮かした金額以上、自分で動いて取引を纏めなくてはならない。少なくても契約書通りに進める。
「中古マンション」
耐震基準とは、建物を建築する際に最低でも守らなければならない基準です。1981年5月まで用いられていた耐震基準のことを「旧耐震基準」と呼び、それ以降に用いられている耐震基準のことを「新耐震基準」と呼びます。「旧耐震基準」は震度5強程度、「新耐震基準」では震度6以上の地震が発生しても倒壊しないように、基準が定められています。
修繕管理費の滞納がないか?マンション事体、修繕管理がちゃんと行われているか?メンテナンス状況、外壁屋根10~15年ごと、防水シートは10年ごと
売主が居住しているのか、オーナーチェンジで居住者がいる場合、家賃の滞納はないか、毎月の修繕積立金、管理費などいくらか、固定資産税いくらかなど聞く。
引渡し設備一覧に「残置物」と売主が主張したら、壊れていても売主に修理する義務はなく、撤去費用も買主持ち。この場合、居住する目的に対して契約不適合責任は問えない。
決済引渡しは、銀行ローンや登記、扱う書類に印鑑証明書などがあるので、司法書士を間に入れ、本人確認を含め依頼すべきです。電子契約書は、印鑑証明書が必要な高額取引にはなじみません。画像修正ソフトとか使われると想像したくありません。
「契約書」・・・売買の目的、売買の目的物、手付、売買代金の支払い、所有権の移転、担保権等の抹消、引き渡し、所有権移転登記、売買対象面積、引き渡し前の滅失・毀損、公租公課等の負担、契約不適合責任、解除、反社排除条項、融資利用の特約、契約締結費用の負担、協議条項、合意管轄
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