知的財産に関する契約

取引契約条項別の文例作成とチェックポイント─債権法改正等に対応した契約担当者の実務─ 単行本(ソフトカバー) – 2020/8/10 経営法務フォーラム (編集)

 知的財産に関する契約は、他の民法を土台とした契約と違って「知的財産基本法」と「判例」を踏まえて作成する必要がある。

 まず知的財産の定義。知的財産基本法第二条 で「知的財産」とは、発明、考案、植物の新品種、意匠、著作物その他の人間の創造的活動により生み出されるもの(発見又は解明がされた自然の法則又は現象であって、産業上の利用可能性があるものを含む。)、商標、商号その他事業活動に用いられる商品又は役務を表示するもの及び営業秘密その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報をいう。

 人間の「知的活動」によって生み出されたアイディアや創作物などには、財産的価値を持つものがある。そうしたものを総称して「知的財産」と呼ぶ。法律で規定された権利や法律上保護される利益に係る権利として保護されるものがあり、それらの権利を「知的財産権」と呼ばれる。それらは、特許権、実用新案権、育成者権、意匠権、著作権、商標権その他の知的財産に関して法令により定められた権利又は法律上保護される利益に係る権利をいう。

 もう少し柔らかく表現すると、知的財産は、脳によって生み出される情報。目に見えない考えで形がない。その考えを形にすると複製される性質がある。なので法律で定義して、手続きによって可視化(創作物、標識、ブランド、営業秘密、ノウハウ)して保護して活用していこうという趣旨。知的活動の保護が目的。

 知的財産法とは、無体物を創出した者に認められる、物の所有権に類似した独占権です。 特許権・実用新案権・商標権・意匠権・著作権等があります。それぞれ独立した法律として特許法、実用新案法、 意匠法、 商標法、 著作権法、不正競争防止法がある。

特許権・・・技術的なアイディアを文章などで表現して書いた書類を特許庁に申請して審査の後、言葉で表現された範囲に独占権が発生する。(独占禁止法が適用されない。運用でエグイ条項を入れると適用される。)

では、そもそも「特許」とは、それは「高度な発明が対象」物、製造方法、それ以外の方法でコンピュータープログラムなど。20年の保護期間。「新規性と進歩性」を審査されて通ったら権利が発生する。出願して審査請求して審査が始まる。審査請求を5年位引き延ばせる。

次に「実用新案」発明ではなく、「考案」を保護する。発明ほど高度ではないが、保護の対象。物品の製造、形状、それら組み合わせを保護する。特許のような「方法」は保護できない。技術的なアイディア。プログラムは対象外。ほぼ必ず登録される。保護は10年間。出願されたら全て権利が発生する。審査がないので信頼性や安定性が、特許に比べると弱い。なので特許庁に技術評価の審査を請求できる。審査の後、新規性、進歩性を踏まえて技術評価書を所得できる。新規性、進歩性がなければダメ。

意匠はデザイン。商標は、事業者が、自己(自社)の取り扱う商品・サービスを他人(他社)のものと区別するために使用するマーク(識別標識)です。著作権は、「著作物」を創作した者(「著作者」)に与えられる、自分が創作した著作物を無断でコピーされたり、インターネットで利用されない権利です。権利の束。

 知的財産は経営資源。実施権(特許発明を実施するための権利(ライセンス))を契約して特許を使わせて対価を得たり、売買したりする。民法が土台の契約だと、契約に書かれていない事は、民法や民法の特別法で処理されるが、知的財産に関する契約は、判例が多用される。裁判も知的財産高等裁判所という専門的に扱う裁判所がある。

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