システム開発契約書(考察①)

みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史 史上最大のITプロジェクト「3度目の正直」 単行本 – 2020/2/14日経コンピュータ (著), 山端 宏実 (著), 岡部 一詩 (著), 中田 敦 (著), & 2 その他

ポストモーテム みずほ銀行システム障害 事後検証報告 単行本 – 2022/3/17日経コンピュータ (著)

2002年4月のシステム障害は、無理なシステム統合計画を立案したが、システムがわかる役員不在、プロジェクトマネージャーも不在(システム統合の司令塔不在)、実行する体制の不備と協力体制、意思疎通の不備、システムを繋げるテスト不足。委託者側が混乱していたようだ。システム障害後、システム統合計画を白紙。3頭取は先送りを決断。以後3つの銀行(興銀、第一韓銀、富士)をリレーコンピューターで接続。

2011年3月のシステム障害(東日本大震災の義援金振込集中)は、88年に作った老朽化したシステムに当時想定していなかった携帯電話からの振込が集中した。法人口座(振込した人の記録をしない口座)を使おうとしたが、TV局から、振込した人の記録が必要との事で、記録する口座を用意。しかし、前者の口座は振込限度枠はなかったが、後者の口座は振込限度枠が設定されていた。それを知っていた社員は存在しなかった。20年以上使っている内にシステムを開発当初から知ってる社員はいなくなり、システムはブラックボックス化していた。他の2行のメガバンクは、大丈夫だったという事は、システムの運用に問題があったようだ。

2019年7月新勘定系システム「MINORI」が全面稼働。1年がかりでシステム移行。要件定義から開発。4重にリスクをチェック。経営層のコミットメントが効いて、委託者、ベイダーの本気の仕事が行われ完成。

2021年2月~2022年2月まで合計11回のシステムトラブル。ATMが停止してカードや通帳が飲み込まれる。
 情報システムは人が開発・運用するものだから、ソフトウェアのバグやハードウェアの故障、オペレーションミスなどは避けられない。
 MINORIはエラーがあると、カードや通帳を飲み込む仕様になっていた。他の銀行はすぐ返す仕様。2018年の移行リハーサルで通帳カードを取り込むトラブルを1821軒起こしていた。稼働後も187軒起こしたが、ATMの仕様変更せず改善策が必要な問題と認識せず経営陣にも報告をしなかった。
 また印紙税16億円削減の為、直近1年に通帳記入しない口座は、紙通帳を廃止して「e-口座」に強制移管する予定であった。(2021年3月末までを基準)しかし、システムファイルの容量は約64万件であった。それを超えるとエラーとなるが、「e-口座」に移管する担当は、通常のシステムエラーを担当する部署ではなく、子会社であった。その子会社はエラーを監視する体制が整っていなかった。システム障害の前日に、e-口座一括移行処理の一回目で警戒値、ファイル使用率87%が出たが、子会社の担当は見逃した。トラブルの兆候は出ていた。
 それでトラブル当日、第二回目のe-口座一括移行処理。90分後定期性預金システムに異変。それがメインフレームからいろいろ波及して、ATMがカードと通帳を飲み込み始める。怒った顧客はコールセンターに電話。通信パンク。エラー多発。異常終了。年度末で取引が多い時に、16億円の印紙税をコストダウンするため大量の負荷がシステムにかかるコマンドを警戒値が出ているのに見逃して実行した。

 経営陣から強いコスト削減圧力。基幹システムの開発などを担当する人員を全面稼働後に約6割削減。結果としてシステムの保守管理に関わるノウハウが十分に引き継がれなかった可能性。また稼働後は、システム障害訓練を実施していなかった。他のメガバンクは訓練をしていて安定稼働対策に専念していた。

読んだ感想は次の2点

「システムを完成するには、委託者の本気がいかに大切か」

「安定稼働にシステム保守運用がいかに大切か」

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