著作権譲渡契約書

著作権情報センターによると
著作権は、著作者が著作物を創作したときに自動的に発生します。したがって、権利を得るためにどんな手続きも必要ありません。

著作権法では、著作物を「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」と定義しています(著作権法第2条第1項第1号。以下、著作権法の場合は条文番号のみを記述します)。
「思想又は感情」を表現したものとされていますので、単なる「事実」を表現したものは著作物ではありません。また、ここでいう「思想又は感情」とは人間固有のものですので、例えばサルが書いた絵や、AIが作った音楽などは著作物とはなりません。
次に、「創作的に」とは、創った人の個性が多少なりとも表れていれば著作物であるとされています。ですから、幼稚園児が描いた絵や、小学生が書いた作文なども立派な著作物です。一方で、他人が創った著作物をそっくりまねたもの、例えば『モナリザ』の模写は、どんなにそっくりに描かれていたとしても、描いた人の個性が表れているわけではありませんので、複製物でしかありません。また、誰が表現しても同じようになってしまうような《ありふれた表現》も、創作的な表現とはいえません。
それから、「表現したもの」とは、頭の中にあるイメージやアイデア、あるいは技法などは著作物ではなく、作品として具体的に表現されて、はじめて著作物となり得るということです。例えば、スポーツのルールは、それ自体は著作物ではありません。ただし、そのルールを、工夫をこらして説明した解説書は、著作物になり得ます。
最後に「文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」とありますが、著作物を類別し例示すると下の表のようになります

まず(目的)。譲渡する著作物を具体的に詳しく記載する。

(保証)本件著作物が、譲渡人の創作による完全な著作物である事と本件契約を締結する充分な権利と能力を保有している事を保証する。そして、第三者から将来、不利な要求が起こらない事。起きた場合は責任をもって対処する事を保証する。(後半の条項は譲渡人の立場からは削除する)

(譲渡の範囲)複製権、出版権、録音権、上映権、演奏兼、公衆送信権、伝達権、口述権、貸与権、そして著作権法第27条および第28条に規定する権利。一切の支分権及び著作権に基づき発生するいかなる権利も含む。

(協力義務)移転登録に必要な一切の時効に協力義務を負うものとする。

(著作者人格権)本件著作権に関して著作者人格権を行使しないものとする。

(著作権譲渡の対価)(権利の侵害)(契約上の地位の承継)(誠実協議)(合意管轄)

著作権の取引に注意しなくてはならない点が2つ。

① 著作権法第61条第2項の規定がある。「著作権を譲渡する契約において、第27条又は第28条に規定する権利が譲渡の目的として特掲されていないときは、これらの権利は、譲渡した者に留保されたものと推定する。
 「著作権を全て譲渡する」と契約書に記述しても、著作権法第27条および第28条に規定する権利を記述しないと「27条の翻訳権、翻案権等と28条の二次的著作物利用に関する原著作者の権利」は譲渡移転しない。なので「著作権法第27条および第28条に規定する権利を含む一切の著作権を譲渡する」と譲渡契約書に記述しなくてはならない。

② 著作者人格権 この権利は、著作者だけがもっている権利で、譲渡、相続ができない。つまり著作者本人から動かせない権利。3つの権利から成る。「公表権、氏名表示権、同一性保持権」著作権を譲渡されても、著作者に人格権を行使されると譲受人としても面倒です。なので「著作者(譲渡人)は、著作者人格権を行使しない」という規定を契約条項に置く事が大事。

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著作権利用許諾契約書

 (利用許諾)対象、範囲を明確に定める。著作物名、著作者名等を明確に特定しておく。範囲についても、利用目的、許諾が一部ならその旨、利用可能地域、独占か否か等について明確に規定しておく。認識の齟齬は紛争の導線となります。

(利用料)本著作権により得られた売上金額の%。

(報告)売上金額等の利用料の基礎となる数字を毎月、例えゼロでも報告させる。

(譲渡及び再許諾)譲渡、転貸は禁止としておく。契約外の第三者には、契約の取り決めが及ばない。担保にするのも禁止しておく。担保にすると債務不履行で権利の移転が起きる。再許諾は、事前に書面による許可が必要とする。書面と表記しないと「言った言わない」になる。基本は、禁止が好ましい。

(第三者による侵害)許諾を受けた側が、侵害を発見した時は、許諾者に通知する取り決め。

(第三者の権利侵害)許諾者は、著作物に関して第三者の権利を侵害していないことを表明し保証する。また許諾を受けた側から、第三者が著作権の侵害を発見し通知を受けた時は、許諾者の責任と費用で解決にあたるものとする。そして許諾を受けた側は、契約を解除して損害賠償を請求できる。許諾者側有利な条項なら、下線の黄色線はいらない。

(資料の貸与等)許諾を受けた者が、原稿、原画、その他参考資料を貸し出す条項。改変を許可するなら、著作人格権を行使しないと記す必要がある。

(著作者表示)利用にあたって著作者を表示しなくてはならない。

(有効期間)意思表示がなければ自動更新にするか終了にするのかは、双方の要望次第。

そして、秘密保持、反社条項、解除、協議、裁判管轄

(契約終了後の措置)在庫が残った場合、契約終了後の一定期間、売る期間を設ける条項。この条項がないと、契約終了後は、在庫の販売ができない。

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特許権譲渡契約書

(対象物件)特定が必要。最新の特許登録原簿を入手して当該特許が有効に存続している事を確認する。維持費を滞納して登録が消えている場合がある。

(対価及び支払方法)譲渡対価を税込みで、振込口座を記入する。

(登録申請手続き、費用及び特許料の負担)支払い後に特許権の移転登録、名義変更の必要な書類を交付して必要な協力をする。その手続き費用は譲受人が負担して、特許の維持費は、決済日又は契約締結日の前日までは売主、当日以後は買主の負担として清算する。

(不争義務)売買対象の特許の有効性を争ったら、契約を解除して損害賠償を請求することができる。

(表明保証)本特許権が契約締結時に、質権、専用実施権、通常実施権の権利が設定されてないことや第三者と紛争が生じていなうことを表明し保証する。また特許の無効事由が存在しないことも明し保証する。(譲渡人の知る限りにおいて)

(秘密保持義務)、(協議)、(合意管轄)

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特許通常実施権許諾契約

契約書のツボとコツがゼッタイにわかる本[第2版] 単行本 – 2020/3/24 萩原 勇 (著)

ライセンス契約で、特許権者(ライセンサー)特許の許諾使用者(ライセンシー

特許の「実施」とは、特許が「物の発明」の場合は、その物を生産、使用、譲渡、輸出、輸入する等の行為、特許が「方法の発明」の場合は、その方法を使用する行為、特許が「物を生産する方法の発明」の場合は、その方法を使用、その方法により生産した物を使用、譲渡、輸出、輸入する等の行為を指します(特許法第2条第3項)。

 そもそも特許権者は、業として特許発明の実施をする権利を「専有」していて他人が無断で特許発明の実施をしている場合は、特許権侵害として、差止請求等の権利行使をすることができます。その為特許発明を実施したい第三者は、特許権者から実施の許諾を受ける必要がある。

 通常実施権の「通常」とは、特許法上、実施許諾権は「専有実施権」と「通常実施権」の2種類が定められていて、通常実施権は、更に「独占的通常」と「非独占的通常」に分かれている。実質3種類の実施権がある。

 専有実施権は、物権で不動産で言えば地上権なようなイメージで、「登録」が必要で特許権者は、他の人に実施権を設定できない。専有実施権者のみの許諾になる。また特許権者が自ら実施することもできない。また特許侵害者に対して、自ら差し止め請求や損害賠償をすることができる。

 通常実施権は、「独占的通常実施権」と「非独占的通常実施権」に分かれていて債権という位置づけ。独占的通常実施権は、登録は不要で契約条項で、特許権者の自己実施が可能となる。差し止め請求はできないが、特許侵害者に損害賠償はできる。一方の非独占的通常実施権は、同一の内容の通常実施権を何人にも許諾でき、何ら独占されてない権利。商標権で言えば、コンビニの看板やロゴは、非独占的通常実施権。この実施権は、契約条項がなくても特許権者が自ら実施できる。また侵害者への差し止めや損害賠償ができない(特許権者が行う)

 契約条項、まず(定義)特許の特定は、「出願番号、特許番号、発明の名称。」本件製品、「何を作る為に使うのかと特定」正味販売価格、改良技術(本特許を使って発明)

(実施許諾)許諾の種類と許諾地域。例えば非独占的通常実施権を国内のみに限って許諾するなど。

(対価)一時金イニシャルペイメントと継続実施料ランニング・ロイヤリティーを組み合わせるのが一般的。そして集計の期間と支払期日の特定。例えば毎月末日に集計を締めて、翌月末日までの支払い。加えて、支払いがされなかったときの遅延損害金の設定。

(実施報告)販売量や売上を報告する条項。実施料の基となる数字なので、監査の取り決めもする。誤差が許容範囲に収まれば、監査費用は特許権者が支払、超えてしまえば実施者が払う。

(対価の不返還)特許は取り消されたり、無効になったりする場合がある。また、対象特許が製品を作る上で関係なかった事が後々に判明する場合がある。その時にこの条項がないと、利息を付けての返金を迫られる。

(保証)特許権者が第三者の特許を侵害していない事を保証する。又は、保証しない。そして実施者の製品が、第三者に損害を与えた場合、法的、契約上の責任を負わない。など

(特許維持)特許は維持費がかかり、支払日から6ヵ月過ぎると失効してしまう。また、特許侵害者に対して差し止め請求を特許権者がしなくてはならない。契約条項で実施権者にさせる事もできる。

(第三者の権利侵害)特許権者と実施権者が協力して対処する。侵害を発見した場合の報告義務と協力義務。」そして費用負担の取り決め。

(改良技術)実施者が実施している特許に係る発明をして、特許出願する場合の事前通知義務と実施者が特許をとった場合、合理的な条件で実施を逆に今の特許権者に与える取決め。ここはエグイ条項を入れると独占禁止法にかかる。例えば、実施者の所得した新特許の譲渡義務。特許権者の特許を基にしてとった特許なのでよこせ。不公正な取引に該当する場合がある。

(表示)ディズニーのキャラクターグッツに付いてるようなシールやガンダムのプラモデルの箱にサンライズというシールが付いているイメージ。

(特許権の譲渡)特許権者の特許を第三者に譲渡する場合は、事前に実施者に通知する事。不動産の賃借人のように通知を受けた新たな家主に、家賃を払えば解決という訳にはいかない。特許権者から実施者に技術指導などが行われ、その対価も含んでいれば、新たな特許権の譲受人に支払を変えればいいという訳ではない。ここは丁寧な取り扱いが必要。

(不義務)実施者が、この特許は無効だ。また、有効性を争ったら、この契約は終了します。という条項。

後は、反社条項、解除、契約期間(終了後に残った特許製品の販売は〇か月まで)合意管轄

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知的財産に関する契約

取引契約条項別の文例作成とチェックポイント─債権法改正等に対応した契約担当者の実務─ 単行本(ソフトカバー) – 2020/8/10 経営法務フォーラム (編集)

 知的財産に関する契約は、他の民法を土台とした契約と違って「知的財産基本法」と「判例」を踏まえて作成する必要がある。

 まず知的財産の定義。知的財産基本法第二条 で「知的財産」とは、発明、考案、植物の新品種、意匠、著作物その他の人間の創造的活動により生み出されるもの(発見又は解明がされた自然の法則又は現象であって、産業上の利用可能性があるものを含む。)、商標、商号その他事業活動に用いられる商品又は役務を表示するもの及び営業秘密その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報をいう。

 人間の「知的活動」によって生み出されたアイディアや創作物などには、財産的価値を持つものがある。そうしたものを総称して「知的財産」と呼ぶ。法律で規定された権利や法律上保護される利益に係る権利として保護されるものがあり、それらの権利を「知的財産権」と呼ばれる。それらは、特許権、実用新案権、育成者権、意匠権、著作権、商標権その他の知的財産に関して法令により定められた権利又は法律上保護される利益に係る権利をいう。

 もう少し柔らかく表現すると、知的財産は、脳によって生み出される情報。目に見えない考えで形がない。その考えを形にすると複製される性質がある。なので法律で定義して、手続きによって可視化(創作物、標識、ブランド、営業秘密、ノウハウ)して保護して活用していこうという趣旨。知的活動の保護が目的。

 知的財産法とは、無体物を創出した者に認められる、物の所有権に類似した独占権です。 特許権・実用新案権・商標権・意匠権・著作権等があります。それぞれ独立した法律として特許法、実用新案法、 意匠法、 商標法、 著作権法、不正競争防止法がある。

特許権・・・技術的なアイディアを文章などで表現して書いた書類を特許庁に申請して審査の後、言葉で表現された範囲に独占権が発生する。(独占禁止法が適用されない。運用でエグイ条項を入れると適用される。)

では、そもそも「特許」とは、それは「高度な発明が対象」物、製造方法、それ以外の方法でコンピュータープログラムなど。20年の保護期間。「新規性と進歩性」を審査されて通ったら権利が発生する。出願して審査請求して審査が始まる。審査請求を5年位引き延ばせる。

次に「実用新案」発明ではなく、「考案」を保護する。発明ほど高度ではないが、保護の対象。物品の製造、形状、それら組み合わせを保護する。特許のような「方法」は保護できない。技術的なアイディア。プログラムは対象外。ほぼ必ず登録される。保護は10年間。出願されたら全て権利が発生する。審査がないので信頼性や安定性が、特許に比べると弱い。なので特許庁に技術評価の審査を請求できる。審査の後、新規性、進歩性を踏まえて技術評価書を所得できる。新規性、進歩性がなければダメ。

意匠はデザイン。商標は、事業者が、自己(自社)の取り扱う商品・サービスを他人(他社)のものと区別するために使用するマーク(識別標識)です。著作権は、「著作物」を創作した者(「著作者」)に与えられる、自分が創作した著作物を無断でコピーされたり、インターネットで利用されない権利です。権利の束。

 知的財産は経営資源。実施権(特許発明を実施するための権利(ライセンス))を契約して特許を使わせて対価を得たり、売買したりする。民法が土台の契約だと、契約に書かれていない事は、民法や民法の特別法で処理されるが、知的財産に関する契約は、判例が多用される。裁判も知的財産高等裁判所という専門的に扱う裁判所がある。

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代理店契約書

実践!! 契約書審査の実務〈改訂版〉 単行本 – 2019/3/14 出澤総合法律事務所 (編集)

 契約のイメージとしては、例えばイタリアの南部にパスタを作ってるメーカー(製造元)A社がある。日本のB社は、イタリアのA社から輸入して日本で売りたいと考えている。A社は、日本での販売の手段や販売ノウハウを持っていない。一方のB社は日本での販売ノウハウや販売網を持っている。A社とB社は販売の提携をして、お互いのビジネスを発展させる事ができる。この契約は、取引基本契約であり、個々の個別契約の条項を補う契約である。

 B社は、A社の日本の代理店として、委任契約を結んで、A社の製造したパスタをA社の為に日本の顧客に売る契約を行う。その顧客が売買契約をするのは、A社である。B社はあくまで代理店としてパスタを販売する。値段は最終的にA社が決めて、販売した手数料をA社から受領して。B社は売上とする。返品がきくので在庫リスクは負わない。

 契約当事者は、A社と日本の顧客です。パスタの販売価格はA社が決めます。B社の利益は、パスタを売った事による手数料で。在庫リスクはA社が負います。

 一方、代理店契約と類似で、「販売店契約」というものがある。代理店との比較で、販売店は、A社からパスタを仕入れ、B社が顧客との間で契約当事者になり、パスタの販売価格はB社が決める。在庫リスクは、B社が負う。また日本のある地域において販売独占条項を置くと、製造元のA社もその地域でパスタを販売できない(テリトリー制)。その為、A社から最低販売数量が設定(クリアできなければ逸失利益分の損害賠償が請求される。)されて、B社はその販売最低ラインをクリアしなくてはならない。加えて商標の仕様も許可され、販売促進等にも条項があり、競合品の取り扱いにもA社からの要求がある場合がある。また商品が改良された場合、取り扱いはどうするのかについての条項もある。あと契約期間。自動更新条項で長く更新していると製造元からの解除が争いになる場合がある。

 契約の注意点としては、まず別紙で扱う商品を特定する。そして代理店、販売店として行う業務をしっかり特定する(業務の明確化)。次に代理店の手数料の発生時期と支払方法。顧客に商品を売った時(例えば5月に引き渡す)、顧客が入金した時(月末締めで翌月払いで、入金が6月)手数料発生から支払を受ける日は、それぞれ1ヶ月ずれる。細かく決めないと認識の齟齬が表面化して紛争の種となる。顧客の入金先をどうするのか、製造元か、代理店か、例えば、代理店が支払いを受けて、手数料を引いた金額を製造元に振り込むのか、ちゃんと決めないと揉めます。人それぞれ常識が少し違うし、決めてない事は、それぞれ自分に都合のいい方に考えますので、細かく認識を一致させて文書に落とすことは大事です。

 上記の例は、わかりやすく海外と日本という設定にしましたが、国内で製造した商品を国内で売ってもらう為に代理店を募集する事はよく行われています。

 応募があって条件にあった代理店と契約をするのですが、一般的には販売促進をして顧客を開拓して、紹介して下さい。説明と契約はこちら側でやります。次に説明と契約まで任せます。なのでその都度、条項で通知義務を定めますので報告して下さい。代理店にどこまで任せるのかを明確に定めておく。そして通知・報告義務を課して状況を把握できるようにしておく。製造元に顧客から苦情がくる。「契約の前に説明を受けたのと違う。」製造元は、代理店に問い合わせる。「どういう説明をして売り方をしているのか」もし通知・報告義務を明確に細かく定めてないと「順調ですよ。ちゃんとやってますよ。問題ないですよ。」でかわされてしまう。製造した商品だけを納品すればいいだけの契約にすると弊害も出てくる。そこで禁止事項と契約解除条項をリンクして定める必要がある。「自分のメリットしか考えないのも結構ですが、デメリットも含めてメリットを考えて下さい」という契約条項。加えて製造元からすれば、再委託の禁止(事前に書面での許可を得る事)や立入検査条項(報告をお願いしても引き延ばして埒があかない。何をやってんのかわからない)が入れば効果的。

 例えば、特定商取引法の規制対象となる「電話勧誘販売」。営業電話がかかってきて断っているのに、また何度もかかってくる。」これは、再勧誘の禁止(法第17条). 特定商取引法は、電話勧誘販売に係る契約等を締結しない意思を表示した者に対する勧誘の継続や再勧誘を禁止しています。
 「営業は、断られてから始まるもの」とか電話営業では通用しなくなっている。法令に違反する勧誘行為。その他競業避止、類似製品の並行代理など

贈与契約書

改正民法と新収益認識基準に基づく契約書作成・見直しの実務 単行本 – 2018/11/20 横張 清威 (著), 伊勢田 篤史 (著), 和田 雄太 (著)

 贈与とは、「あげます、頂きます」と当事者の合意で成立します。他の契約と同じで、口頭で成立します。ただ、他と違うのは、口約束の場合は贈与契約を解除できることです。(民法550条)但し、贈与の対象物を相手に渡して贈与契約の履行が終わった部分については解除できません。(やっぱりやめる。「返して」と言えない)

 また、他の契約と同じように、口頭や書面でも、詐欺や脅迫、未成年者の行為やその他、民法の規定で取り消せます。

 書面によらない口頭による贈与を解除できることの反対解釈として、書面による贈与については、原則として解除が認められません(民法550条)

 贈与契約書を作成して当事者の合意を書面に落とせば、渡す側の「気分」や「考え」「心変わり」で解除できなくなります。受け取る側は、渡す側の気持ちが変わらない内に書面に書いて貰うのがいいかと思います。何を書いたらいいのか?必要事項を書いてないと贈与が成立しない場合があります。なので贈与契約書の作成を承ります。また内容証明郵便や調停調書など、贈与契約締結に向けた当事者双方の意思が明確に表れた書類はすべて「書面」に該当します。

 渡す側の誠意として、贈与契約書を作成して、解除しないで贈与しますという意思表示をしましょう。

 受け取る側は、感謝の気持ちとお礼の言葉で、税金関係の手続きの為とお願いして贈与契約書を作成して署名捺印を頂きましょう。有効な書面を交わす事により、双方が書面の内容を反故にする事はできなくなります。

 係争になるのは、渡す側の心変わりかと思います。絶対後悔しないという覚悟がなければ、プレゼントするという思いは口にしない方がいいと思います。書面がなければ、お決まりの「言った言わない」の水かけ論で、どちらかが折れなければ、解決不可能になります。

 当事者の合意により契約が成立し、それが法律行為となり、それに反すると「違法」となります。また違法と主張する者が、立証責任を負います。なので受け取る側こそ贈与契約書の作成が必要不可欠と思います。また贈与の対象が不動産ですと、「移転の原因を証する書面」として贈与契約書が必要で、ないと登記が移転(名義変更できません)できません。(登記の依頼は司法書士へ)あと、有価物や金銭を動かすと贈与税が発生してしまいます

贈与契約の種類4つ。贈与契約、負担付贈与契約、定期贈与契約、死因贈与契約

雇用契約書(就業規則なし)

労使トラブル円満解決のための就業規則・関連書式作成ハンドブック 単行本 – 2023/11/19 弁護士 西川 暢春 (著)

 上記の本は、とても優れています。良書です。縦26㎝ 横18㎝ 1241ページ。就業規則を作るのに心強い一冊です。労務関係の契約は、労働3法「労働基準法」「労働組合法」「労働関係調整法」が強行規定となっていて、当事者同士による合意でも、頻繁にその契約を裁判で否定されます。ほぼ労働者側に寄り添って判決がでる場合が多いです。

 就業規則は、常時10人以上の従業員を使用する使用者が作成して労働基準監督署に提出しなくてはなりません。代行を依頼できるのは、「社会保険労務士」か「弁護士(企業法務を扱ってる)」になります。

 「雇用契約書」(会社と従業員が労働条件について互いに合意したことを証明する書類)とどう関係があるかと申しますと、雇用契約の内容が就業規則があればリンクさせなければならない事です。そもそも雇用契約は、口頭でも成立します。雇用契約書は、絶対に必要ではありません。しかし、「労働条件通知書」は(労働基準法第15条第1項)通知が義務付けられている。通知内容は、労働契約の期間、契約の更新の基準、就業の場所(2つ記入。雇い入れ時、変更の範囲)、従事すべき業務(2つ記入。経理、会社の定める業務)、始業終業の時刻、休憩、休日、賃金、退職。絶対的明示事項と相対的明示事項(企業が制度を導入していれば明示)があります。
 ※有期雇用労働者(パート、契約社員は、「更新上限、通算雇用年数」。「無期雇用転換項目(1年契約を4回繰り返して5年。これを1日でも超えると無期雇用の申込ができて、会社側はその申し入れを拒否できない。申し入れた期間が終わった後に無期転換される。それを5回目の更新で書面で明示しなくてはならない)更に無期転換後の労働条件変更があるのかも記入する必要がある。無期雇用労働者は正社員を意味するものではない。

 雇用契約書と労働条件通知書は、ほぼ内容が一致するので、「雇用契約書兼労働条件通知書」という書式で、合意と法定通知を一緒に取り交わすのがいいかと思います。(内定時)に通知契約を交わす。入社日に通知すると、「こんな事聞いてない」という話になる場合がある。

労働条件通知書の内容は一覧で表示して、たとえ重複しても雇用契約書で記す。

雇用 雇用し賃金を支払う事を約束し、誠実に指揮に従い勤務する事を約する。と最初の条項で記す。

雇用期間 正社員は「期間の定めのない契約とする」(試用期間3か月。延長する場合あり)でパートタイムは最長3年。1年ずつ更新していくのが普通。累計5年を超える事に注意。

就業場所 本社、会社の所在する場所(トラブルになりやすいので丁寧な扱いと合意が必要。限定する書き方あり)あなたは転勤対象であり転勤があるという事を書面と口頭で説明する。

業務の内容 〇〇及びこれに付随する業務。必要がある場合、使用者の定める業務、指定する業務に変更できる。契約書を作る側が幅を持たせられる。広めに書いておく。特定業種のみで採用すると、他の業種変更できなきなる。職種限定採用は硬直性が伴う。

誓約 会社規則や業務命令等を遵守し信義誠実に勤務する。など機密漏洩しない、競合避止、名誉を棄損しない(ネットに書いたりしない)

就業・休憩時間 9時から18時就業。12時から13時休憩。8時間+1時間とする。残業があるかないか。使用者は、業務上必要がある時は、時間変更でき、ある場合、時間外労働を命ずることができる。事業によって変形労働制も活用

※労働基準法では、原則として、1日8時間、1週40時間までしか労働者を働かせることはできません。また、1週間に1日は休日としなければなりません。もし使用者がこれに違反すると、「6箇月以下の懲役又は30万円以下の罰金」という刑事罰が用意されているほど、この原則は強いものです。ただし、サブロク協定を締結し、それを労働基準監督署に提出することで、例外的に1日8時間・週40時間を超えて働かせても、また、1週間に1度の休日に労働させても、使用者は刑事罰を受けなくて済むことになります。このように契約自由の原則や当事者の合意より優先されるのが、強行規定(この場合労働法)

休日 土日祝日 有給休暇(年次有給休暇は、雇入れの日から起算して半年間継続勤務し、全労働日の8割以上出勤した労働者(管理監督者を含む)に、年10日の有給休暇を付与することが法律で義務となっています。)待遇を上げる合意は可能だが、下げる扱いは難しい。

休職 3ヵ月とする。3ヵ月を過ぎると自然退職とする。(この項目がないと自然退職が使えず、解雇という形をとらざるを得なくなる。)

給料 基本給や通勤手当など総支給額。加えて所定時間外手当の説明。就業規則があれば、「詳細は就業規則による」とリンクさせる。そして支払方法。毎月末締め、翌月25日払い。その他賞与、昇給など(~により支給しない場合がある、改定しない場合がある)記入。

懲戒 ここが雇用契約書の重要な個所。他の条項は、労働条件通知書の解説のような位置づけであったが、この懲戒は、やってはいけない事、やるべき事の確認ができる。例えば、無断又は正当な理由なく遅刻、早退を繰り返す、欠勤を繰り返す、業務命令に従わない、会社のPCなど私用目的で使用するなど別紙で最低20項目は記入する。

解雇 以下の場合30日前に予告し、又は30日分の平均賃金を支払って解雇する事ができる。身体、精神上の障害により業務に耐えられない時、著しい勤怠不良で改善の見込みがない、労働能率が著しく劣り、改善の見込みがない、事業の縮小その他やむを得ない事由がある時など

退職 1ヵ月前までに書面で退職を願い出て、使用者がこれを承認したとき、又は届けて2週間が経過した時、無断欠勤が連続30日続いた時、定年になった時、死亡した時など

その他事項 

提出書類 免許書コピー、源泉徴収票、年金手帳、身元保証書(5年更新)、資格や卒業証明書 (ちゃんと指定した書類を集めて提出するかで人間性が垣間見える。)

裁判管轄 労働裁判は、使用者に圧倒的に不利なので、裁判管轄は記入しない。雇用契約書や就業規則などは、経営者や真面目に業務を行っている社員を守る為にあります。問題社員の対処の為です。他所でトラブルを起こした方は、トラブルを起こしやすいです。真面目でない方は、入れない。そして、労働裁判に行かないようなるべく話し合いで解決する。

特定技能制度の実務―入管・労働法令,基本方針,分野別運用方針・要領,上乗せ告示,特定技能運用要領,審査要領― 単行本 – 2020/5/27 山脇 康嗣 (著)

 特定技能制度を使って外国人を雇用する場合、日本人以上に労働法令の厳守を求められます。外国の送り出し機関、日本の受け入れ機関、監査機関、違反すると、繰り返すと制度から排除され、特定技能上で外国人を雇用できなくなります。それは、相手国との約束で不当に労働させない。という事で、その担保が、労働法令を守らせる事と監査という形で制度設計されています。

定型約款(利用規約)

 Webサービスなどで必須の契約条項。アプリのサービス前に小さな文字の文章が沢山でてきて下にスクロールして「同意する」をクリックする様式。

 そもそも定型約款とは、「定型取引において、契約の内容とすることを目的としてその特定の者により準備された条項の総体をいう」民法548条の2第1項
 ではその「定型取引」とは、ある特定の者が不特定多数の者を相手方として行う取引であって、その内容の全部又は一部が画一的であることがその双方にとって合理的なものをいう。例えば、鉄道会社が乗客一人一人と旅客運送契約を結んでいたら、電車に乗るまでたいへんな時間と手間がかかるし現実的ではない。現実は、運送約款でカードで「ピッ」と駅で入場して乗車して「ピッ」目的地の駅で電子決済して後にする。乗客によって取引条件は変わらず、画一的に同じ条件(運賃)で利用できる。

 実際には、運送事業者が、営業規則で決められている「運送条件」を、事前に一定の場所に公告(お知らせ)し、旅客はこの条件を了解しているとの前提で、旅客輸送サービスを行っています。定型的な内容の取引条項を記載し、公告したものを「約款(やっかん)」といいます。民営鉄道各社の「運送約款」は、駅の事務所で閲覧することができます。「日本民営鉄道協会」

 鉄道、バス、旅行会社、銀行、保険、証券、クレジットカード、ネットサービス(会員規則)、フィットネスジムなど「取引契約の内容とすることを目的としてその特定の者(事業者)により準備された条項の総体」が定型約款といいます。会社が見込み客に対して一方的に作ったマイルール。

 「みなし合意」・・・事業者が勝手に作った条項を契約として合意の効果を生じさせる為には、利用規約が契約内容になると書かれていたこと。そして組入れ要件として2つ。1つは、ネットサービスなどで、契約前に利用規約と表示され、合意するというボタンをクリックさせる事(約款に同意した場合双方の契約内容となりますと表示)。2つ目は、合意前にあらかじめ定型約款を契約内容とする事を相手方に表示していたとき。更に公表をもってみなし合意とする事もある。

「不当条項規制」・・・相手方の権利を制限し又は義務を加重する条項や社会通念に照らして、信義則に反して相手方を一方的に害すると認められるものは、無効となります。契約期間の途中解約には、多大な違約金がかかる(キャンセル料)、故意重過失を含め損害賠償は負いません(不当な免責)。不意打ち的な支払(不意打ち条項)など

利用規約の変更・・・契約というは、一方が勝手に変更はできず、お互いの合意がないと認められないものです。しかし、定型約款である利用規約は、合意不要で一方的に変更が可能な例外項目があります。まずは、相手側の一般の利益に適合すること(利益変更)そして合理的非利益変更。まずは、定型約款に変更することがある旨の規定。そして、変更が契約した目的に反せず、変更の必要性があり、変更後の内容の相当性(ガラッと変えるとマズい)、最後に変更内容の周知の手続き。それで。みなし合意で変更が有効になる。

 企業側が自由に条項を組み立てる事ができますが、消費者契約法や特定商取引法などの強行規定を踏まえないと大事な条項が無効となる恐れがあります。その他ビジネスモデルによって対処しなければならない法律があります。(個人情報保護法、著作権法、資金決済法)また、自社のサービスでトラブルを想定して、対処する条項を充実させていかなくてはならない。(禁止事項、破ったらペナルティー、利用停止、契約解除、免責事項)

本規約の目的、本サービスの利用規約、届出内容の変更、委託、利用料金、禁止事項、契約者の個人情報の取扱い、本サービスの一時停止、本サービスの利用の禁止及び利用契約の解除、退会・契約者による解除、本サービスの終了、免責事項、契約者の損害賠償責任、譲渡禁止、通知、準拠法、合意管轄裁判所、本規約の変更(変更日履歴付)

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OEM取引基本契約書

ローソンの麺つゆ、つゆ濃縮3倍、500ml  「製造者ヤマキ」の作った商品を「ローソン」が販売している。温かいうどんによく合う。ラベルだけ変えているのではなく、既存のヤマキのめんつゆと全く違う。(ローソンしか売ってない。別のヤマキのめんつゆと味比べしてみた。)別味で作っている。

 流通業者の販売ブランドは、PB(プライベートブランド)と呼ばれ、PB商品製造委託基本契約書で締結されるが、内容はOEM取引基本契約書とほぼ同じである。

OEM取引とは、「Original Equipment Manufacturing」の略称で、委託者が企画、設定、デザインを生み出し、委託者のブランドで受託者が商品を生産する取引。スマホ、家電、自動車等の製造業で利用されている。契約の法的性質は、請負契約、又は売買契約となる。

初期費用がほとんどかからない。工場用地を確保して、建物を設計して、建てて、ラインを作って、従業員を雇ってオペレーションの訓練をして・・・全てカットできる。

開発や管理コストの削減。受託企業の製造ラインを使って製造できるのでウインウインの関係。また委託者は在庫リスクも負わなくていい。受託者は最低発注量の設定を求める事ができる。そして工場の稼働してない時間を使える。

発注者は、出来た商品を買うので、少ないロットで発注できる。しかも、書品ラインナップを増やす事ができる。

デメリットは、納期と品質管理。受託工場は、本来の自己製造を優先するので納期の面で後回しになる。品質管理は、各工場によって、ばらつきを注意しなくてはならない。良い工場と取引する事が大切。

 時間がかかる。打合せが長くかかる。

 デザインを詳細設計して受託者に送って、組立図面を返して、打ち合わせをして、試作を作って、生産へと進む。美味しい一皿に何工程も詰まっているように、委託者と受託者、細部まで詰める打ち合わせが必要。

 そして契約上の注意点

契約の性質は、完成したものを購入する売買契約か、請負契約とするかを明確に

商品の特定、生産品の仕様は、詳細に表記してますか? 外観、機能、性能、保守内容など、更に、試作品や金型、同封する取扱い説明書の作成まで長くなるので、別紙1で纏める。規定外の必要項目は、その都度協議する。

商標の取り決め。委託者の商標が流用(第三者に商品を販売)されないように、委託商品のみに使用と条項を入れる。商標を貼る場所の指示、また類似商標の登録出願しない事。

発注予想、発注保証、最低購入数量の取り決め。委託者有利なら予想。受託者も、生産準備して、少量の発注だと赤字になってしまう。

個別契約。納品のどのくらい前に発注するのか?の取り決め。工場も本来の生産を優先するので、スケジュール管理が重要。そして納品場所と検査。受入検査は、委託者が双方あらかじめ合意した方法により行う。足りなかった場合や不具合があった場合の取り決め。普通の売買取引基本契約と同じ。

(競業の禁止、模倣の禁止)自社コンテンツやノウハウが流れてしまうリスク。禁止する範囲を限定しないと受託者には、大きなリスク。例えば、「委託者の事前の書面による承諾があった場合を除いて本製品と同一又は類似の製品を販売してはならない。」当方と契約中は、とか年数で区切ったり、話し合い次第。
 受託者の力関係が強ければ、「めんつゆ」の例に戻ると、ヤマサ醤油はファミリーマートとセブンイレブンの両方のプライベートブランドの「めんつゆ」を作っている。

再委託の基本禁止。事前に文書での承諾が必要で、再委託するなら、再委託先にも委託先と同水準の責任を負担して下さいねという条項。自社コンテンツやノウハウを守る場合、再委託先にも秘密保持契約を結んで頂く。

製造物責任。商品に欠陥があった場合に責任をとってくださいという条項。製造物責任法で、製造した製品の欠陥で第三者の生命、身体又は財産に損害を与えた場合、製造者が責任を負う法律。ただ委託者の設計や委託者の供給した材料が原因なら、それを受託者が立証すれば免責される。

 秘密保持契約をして、知的財産権の取り決めなどして、あとは普通の製造請負契約と同じ。

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