フランチャイズ契約書  まとめ

改訂版 フランチャイズ契約の実務と書式 – 2018/5/10 神田 孝 (著)

 フランチャイズ契約書は、実体(本部、マニュアルなど)を構築してから作るか、まず契約書を作ってから実体を構築するかである。実体が整っていれば、実体に即して作ればいいし、実体がまだ構築されてないなら、契約書に合わせて実体を構築すればいい。フランチャイズを作りたいけど何から?なら契約書の内容を満たせるように実体を構築する。

 フランチャイズは、まず新規に事業を始め本店を出店して、お店を繁盛させる。そして支店を出す。本店が繁盛し続け、支店も繁盛し続けたら、連鎖化事業に移行する選択肢が生まれる。

 法的には、中小小売商業振興法とフランチャイズガイドラインと判例で運用される。

 フランチャイズ契約は、どうしてもフランチャイザー(ザーとジーの違いの覚え方は、サー「イギリスの栄誉称号」で立場が上と覚える。ザーの本来の意味は違う。こじつけでの覚え方)がかなり有利な作りとなっているので、商標登録して、しっかりとしたマニュアルを作って、研修制度を整えて、出張指導要員を揃えて、営業権を付与して加入者のお店が繁盛するよう努めなくてはならない。加入者のお店が繁盛している場合、フランチャイザーとフランチャイジーとの紛争は起こりにくい。

 加盟金の対価は、フランチャイズパッケージ(立地診断、開店準備、開業前研修、店舗運営、様々な試行錯誤の末導き出されたノウハウ)ロイヤリティーは、商標使用の対価、店舗運営指導など。

 フランチャイズ本部を作って、マニュアル(手引書・取扱い説明書)を整備して、スーパーバイザー(加盟店舗に指導する人)の人員の能力を標準化して、商標登録をして、パンフレット(飲食店ならお客さんが満員の写真、収支予測※モデルケースで立地や条件により変動すると小さな文字で記入しておく)を作って、決めるならエリア区割りをして加盟申込書、法定開示書面、フランチャイズ契約書を用意する。

 フランチャイズ契約書は、「事業主 対 事業主」の契約である。ノウハウだけいただいてすぐ辞めれないよう長期の契約となっている。

 予想収支が大きく黒字で、それを基に決断して加入して、赤字であった場合、その数字に根拠があった場合、赤字となった加入者の訴えは退けられるという判例がある。また、セールストークである程度は許容されている。事業として一律のサービス提供という名目で様々な支払や縛りが判例上許容されている。店舗の工事を指定会社に、飲食店なら、使う材料を本部から購入する事など。また広告も本部が一律にうつので、加盟店から徴収する事など。

 あらかじめ決めておく事、構築すべき事が沢山あるので、何からどうすべきかで迷うのでしたら、契約書の水準を満たすよう実体を作っていくやり方もあると思います。なるほどとお思いの方は、契約書をご依頼下さい。

 

和解契約書・示談書 ②

和解交渉と条項作成の実務 単行本 – 2014/12/2 田中 豊 (著)

地方裁判所では、判決が43.18%、訴訟上の和解が34.05%だという。裁判所に訴えれば判決で勝ち負けが決まると単純な話ではないようだ。

 和解契約書は、無効、取消しの瑕疵がないようにしなくてはならない。まず当事者が自由に処分できる権利でなくてはならない。民法の家族法の人事関係、会社法で決められてる事柄、境界確定(所有権のラインは当事者で決められる)、民事執行法での手続き、行政が絡んだ問題など。私法上の和解で公法上の決まりを変えられない。

 和解契約書が有効になるには、①法律行為の一般的有効要件を満たしている事(脅して作られたとか、成年被後見人や未成年が単独で登場すると注意。)②合意内容が実現可能であること(物理的、社会通念上履行不能)③合意内容確定している事(決めた後の履行に曖昧な部分があると解釈が分かれて止まってしまうおそれ)④合意内容が適法であること(私法で変えられない強行規定に牴触する内容、身分関係、利息制限法、借地借家法)⓹合意内容が公序良俗に反しない事(賭博の支払いの約束など)

 話し合い、交渉事。 各当事者には譲歩の上限がある。適正、合理的な上限を交渉の前提としてその他の点で工夫するしかない面もある。全体として互譲のバランスをとり、核、幹の部分を意識する。でないと拡散型になって話が広がってまとまらなくなる。合意に辿り着くまで交渉の手順に従って行うのが合理的。

  手控え作成。関係図、時系列表、争点表、事件のスジ。見えにくい話を理解しやすくする工夫。双方努力して乗り越えなければならない論点の整理。嘘や脅しは全て台無しになる。

 たとえ裁判上で和解しても、税務は別に展開される。知らなかったが、離婚の財産分与は、受け取った側が納税義務を負うのではなく、分与した渡した方に納税義務が生じる。なのでそれを踏まえた上で計算する必要がある。損害賠償も、心身に加えられた損害や突発事故の場合は非課税だが、遅延損害金、債務不履行などは課税される。弁護士費用も前者は含むことができても、後者の債務不履行には含まれない。

 和解条項。過去の事実と法律関係。確認の客体(対象)物権、債権を特定。清算条項。給付の客体、与える債務と為す債務、作為債務と不作為債務、特定物と不特定物。条件、期限、期限の利益喪失条項。解除権留保条項。

 ※個人間のお金の貸し借り、請負代金未払い、解雇問題、家賃滞納立ち退き、夫婦一方の不貞など裁判に至らず話し合いで解決して、和解契約書を作って終わりにしましょうという想定で依頼を受けさせていただきます。

 和解の原因となった事実関係を淡々と記し(相手を非難、責める内容とせず)、和解の結果、双方すべきことを記す。立会人を入れ3通用意し各自保有することにする。条項の解釈を巡って紛争が生じないようにわかりやすい表現で、認識を共通させる。

和解契約書・示談書

新和解技術論 ― 和解は未来を創る 単行本 – 草野芳郎

 著者は元裁判官。裁判に訴えれば、「判決」で勝ち負けが決まるという認識であったが、実際は「和解」で解決する事も多いという。はしがきには、当事者の未来を見て妥当な解決を目指すと書いてあり、判決の後、控訴、上告と何年もかかるより、和解で裁判を終結させる方が、当事者は争いを終らせて次に進める。

 和解が目指すものは、「条理にかない実情に即した解決」と著者は定義している。和解は、将来の影響をも考慮した妥当な解決案を作る事が可能。裁判官は、いつでも和解を試みる事ができると(民訴法89条)書いてあり、訴えたからといって、和解を拒否して判決を求めなくては、勝ち負けの二者一択にはならないようだ。

 いずれにしても対話が大事で、対話ができている内なら自然治癒力(自主解決能力)が備わっているという。当事者が対話を尽くせば和解に至る事件の方が多数で原則という。裁判所で和解すると和解調書として纏まられ確定判決と同じ効力を生む。

 和解契約書・示談書は、調停や裁判に至らず対話で解決して、合意した内容を書面にして各自持っておきましょうという文書。

 なぜ話がついたのに書面にする?と思われる方もいらっしゃいますが、理由があります。まず時間が経つにつれて、過去の合意に不満を持つ方もいらっしゃるからです。「フェアな合意ではなかったな。こちら側に不利な内容だった。」蒸し返してきて、更なる話し合いを求めてくるなり、要求をしてきます。

 和解契約書・示談書を作ってないと、同じ事の繰り返しになります。文書があれば、解決済として、話し合いを拒否できます。なので文書の内容をしっかりしておく必要があります。

 また当事者同士の話し合いは、感情的にならず事実を告げ、思いを伝える。カーネギーの「人を動かす」によると、議論を避ける、誤りを指摘しない(相手の感情を傷つけない)、おだやかに話す、イエスと答えられる問題を選ぶ、相手にしゃべらせるだけしゃべらせる。相手の言い分をよく聞いて、合致点を拾う。ハーバード流交渉術では、人と問題を切り離せ、立場ではなく利害に焦点を合わせよ、複数の選択を用意せよ、客観的基準を強調せよ。

 納得のいかない話には合意せず、時間をあけるよう主張する。双方それぞれ言い分があるので尊重はする。自分の譲れるところ、譲れないところを予めラインを引いておく。そしてメインシナリオ、ハッピーシナリオ、バットシナリオを考えておく。誠実に対処して、誠実さが通用しない相手なら。代理人を立てる事を考え丸投げする。そしてその問題の精神的負荷を軽減する。

 本書58ページに「通常の紛争は、交通事故のような場合は別として、知らない人との間では起きないし、知っている人との間でも、信頼していない人との間では起きないのです。信頼してない人にお金を貸したり保証人になったりしないからです。信頼していた人との間で起きた紛争は、裏切られたという感情を発生させ、不信感を強く起こさせるのです。

 相互不信を解消し、信頼関係を回復させるには、不信を感じる根拠となっていることが、誤解やその人の考えすぎであったと気づいてもらうこと。誤解を解くと不信の壁に穴が開く。相互不信が緩和されると少しづつ信頼関係が回復する。著者は言う「和解はドラマだ」と

 過ぎ去った過去の大いなる苦痛よりも、未来の小さな苦痛の方が悩ましく感じている人が、未来の苦痛を取り除けば和解はうまくいくという。過去の問題として振り分けられるようにする事。

 和解の長所を考え、相手の逃げ道を塞がず、落としどころを考えておく事。

 判決は、過去の事実にそれより過去に存在している法律を適用して結論を出すもの。判決の確定力によりその蒸し返しをさせない事で、現在の紛争を終了させるものであり、未来への影響は間接的な効果を持つにとどまるものです。

 これに対して和解は、当事者双方が未来に実行する事を合意により約束するもの。和解は、直接未来につながるものであり、「未来を創る」ことができるのです。

 和解契約について民法695条に記されている。「和解は当事者が互いに譲歩をしてその間に存する争いをやめる事を約することによって、その効力を生じる。」

著作権譲渡契約書

著作権情報センターによると
著作権は、著作者が著作物を創作したときに自動的に発生します。したがって、権利を得るためにどんな手続きも必要ありません。

著作権法では、著作物を「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」と定義しています(著作権法第2条第1項第1号。以下、著作権法の場合は条文番号のみを記述します)。
「思想又は感情」を表現したものとされていますので、単なる「事実」を表現したものは著作物ではありません。また、ここでいう「思想又は感情」とは人間固有のものですので、例えばサルが書いた絵や、AIが作った音楽などは著作物とはなりません。
次に、「創作的に」とは、創った人の個性が多少なりとも表れていれば著作物であるとされています。ですから、幼稚園児が描いた絵や、小学生が書いた作文なども立派な著作物です。一方で、他人が創った著作物をそっくりまねたもの、例えば『モナリザ』の模写は、どんなにそっくりに描かれていたとしても、描いた人の個性が表れているわけではありませんので、複製物でしかありません。また、誰が表現しても同じようになってしまうような《ありふれた表現》も、創作的な表現とはいえません。
それから、「表現したもの」とは、頭の中にあるイメージやアイデア、あるいは技法などは著作物ではなく、作品として具体的に表現されて、はじめて著作物となり得るということです。例えば、スポーツのルールは、それ自体は著作物ではありません。ただし、そのルールを、工夫をこらして説明した解説書は、著作物になり得ます。
最後に「文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」とありますが、著作物を類別し例示すると下の表のようになります

まず(目的)。譲渡する著作物を具体的に詳しく記載する。

(保証)本件著作物が、譲渡人の創作による完全な著作物である事と本件契約を締結する充分な権利と能力を保有している事を保証する。そして、第三者から将来、不利な要求が起こらない事。起きた場合は責任をもって対処する事を保証する。(後半の条項は譲渡人の立場からは削除する)

(譲渡の範囲)複製権、出版権、録音権、上映権、演奏兼、公衆送信権、伝達権、口述権、貸与権、そして著作権法第27条および第28条に規定する権利。一切の支分権及び著作権に基づき発生するいかなる権利も含む。

(協力義務)移転登録に必要な一切の時効に協力義務を負うものとする。

(著作者人格権)本件著作権に関して著作者人格権を行使しないものとする。

(著作権譲渡の対価)(権利の侵害)(契約上の地位の承継)(誠実協議)(合意管轄)

著作権の取引に注意しなくてはならない点が2つ。

① 著作権法第61条第2項の規定がある。「著作権を譲渡する契約において、第27条又は第28条に規定する権利が譲渡の目的として特掲されていないときは、これらの権利は、譲渡した者に留保されたものと推定する。
 「著作権を全て譲渡する」と契約書に記述しても、著作権法第27条および第28条に規定する権利を記述しないと「27条の翻訳権、翻案権等と28条の二次的著作物利用に関する原著作者の権利」は譲渡移転しない。なので「著作権法第27条および第28条に規定する権利を含む一切の著作権を譲渡する」と譲渡契約書に記述しなくてはならない。

② 著作者人格権 この権利は、著作者だけがもっている権利で、譲渡、相続ができない。つまり著作者本人から動かせない権利。3つの権利から成る。「公表権、氏名表示権、同一性保持権」著作権を譲渡されても、著作者に人格権を行使されると譲受人としても面倒です。なので「著作者(譲渡人)は、著作者人格権を行使しない」という規定を契約条項に置く事が大事。

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著作権利用許諾契約書

 (利用許諾)対象、範囲を明確に定める。著作物名、著作者名等を明確に特定しておく。範囲についても、利用目的、許諾が一部ならその旨、利用可能地域、独占か否か等について明確に規定しておく。認識の齟齬は紛争の導線となります。

(利用料)本著作権により得られた売上金額の%。

(報告)売上金額等の利用料の基礎となる数字を毎月、例えゼロでも報告させる。

(譲渡及び再許諾)譲渡、転貸は禁止としておく。契約外の第三者には、契約の取り決めが及ばない。担保にするのも禁止しておく。担保にすると債務不履行で権利の移転が起きる。再許諾は、事前に書面による許可が必要とする。書面と表記しないと「言った言わない」になる。基本は、禁止が好ましい。

(第三者による侵害)許諾を受けた側が、侵害を発見した時は、許諾者に通知する取り決め。

(第三者の権利侵害)許諾者は、著作物に関して第三者の権利を侵害していないことを表明し保証する。また許諾を受けた側から、第三者が著作権の侵害を発見し通知を受けた時は、許諾者の責任と費用で解決にあたるものとする。そして許諾を受けた側は、契約を解除して損害賠償を請求できる。許諾者側有利な条項なら、下線の黄色線はいらない。

(資料の貸与等)許諾を受けた者が、原稿、原画、その他参考資料を貸し出す条項。改変を許可するなら、著作人格権を行使しないと記す必要がある。

(著作者表示)利用にあたって著作者を表示しなくてはならない。

(有効期間)意思表示がなければ自動更新にするか終了にするのかは、双方の要望次第。

そして、秘密保持、反社条項、解除、協議、裁判管轄

(契約終了後の措置)在庫が残った場合、契約終了後の一定期間、売る期間を設ける条項。この条項がないと、契約終了後は、在庫の販売ができない。

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特許権譲渡契約書

(対象物件)特定が必要。最新の特許登録原簿を入手して当該特許が有効に存続している事を確認する。維持費を滞納して登録が消えている場合がある。

(対価及び支払方法)譲渡対価を税込みで、振込口座を記入する。

(登録申請手続き、費用及び特許料の負担)支払い後に特許権の移転登録、名義変更の必要な書類を交付して必要な協力をする。その手続き費用は譲受人が負担して、特許の維持費は、決済日又は契約締結日の前日までは売主、当日以後は買主の負担として清算する。

(不争義務)売買対象の特許の有効性を争ったら、契約を解除して損害賠償を請求することができる。

(表明保証)本特許権が契約締結時に、質権、専用実施権、通常実施権の権利が設定されてないことや第三者と紛争が生じていなうことを表明し保証する。また特許の無効事由が存在しないことも明し保証する。(譲渡人の知る限りにおいて)

(秘密保持義務)、(協議)、(合意管轄)

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特許通常実施権許諾契約

契約書のツボとコツがゼッタイにわかる本[第2版] 単行本 – 2020/3/24 萩原 勇 (著)

ライセンス契約で、特許権者(ライセンサー)特許の許諾使用者(ライセンシー

特許の「実施」とは、特許が「物の発明」の場合は、その物を生産、使用、譲渡、輸出、輸入する等の行為、特許が「方法の発明」の場合は、その方法を使用する行為、特許が「物を生産する方法の発明」の場合は、その方法を使用、その方法により生産した物を使用、譲渡、輸出、輸入する等の行為を指します(特許法第2条第3項)。

 そもそも特許権者は、業として特許発明の実施をする権利を「専有」していて他人が無断で特許発明の実施をしている場合は、特許権侵害として、差止請求等の権利行使をすることができます。その為特許発明を実施したい第三者は、特許権者から実施の許諾を受ける必要がある。

 通常実施権の「通常」とは、特許法上、実施許諾権は「専有実施権」と「通常実施権」の2種類が定められていて、通常実施権は、更に「独占的通常」と「非独占的通常」に分かれている。実質3種類の実施権がある。

 専有実施権は、物権で不動産で言えば地上権なようなイメージで、「登録」が必要で特許権者は、他の人に実施権を設定できない。専有実施権者のみの許諾になる。また特許権者が自ら実施することもできない。また特許侵害者に対して、自ら差し止め請求や損害賠償をすることができる。

 通常実施権は、「独占的通常実施権」と「非独占的通常実施権」に分かれていて債権という位置づけ。独占的通常実施権は、登録は不要で契約条項で、特許権者の自己実施が可能となる。差し止め請求はできないが、特許侵害者に損害賠償はできる。一方の非独占的通常実施権は、同一の内容の通常実施権を何人にも許諾でき、何ら独占されてない権利。商標権で言えば、コンビニの看板やロゴは、非独占的通常実施権。この実施権は、契約条項がなくても特許権者が自ら実施できる。また侵害者への差し止めや損害賠償ができない(特許権者が行う)

 契約条項、まず(定義)特許の特定は、「出願番号、特許番号、発明の名称。」本件製品、「何を作る為に使うのかと特定」正味販売価格、改良技術(本特許を使って発明)

(実施許諾)許諾の種類と許諾地域。例えば非独占的通常実施権を国内のみに限って許諾するなど。

(対価)一時金イニシャルペイメントと継続実施料ランニング・ロイヤリティーを組み合わせるのが一般的。そして集計の期間と支払期日の特定。例えば毎月末日に集計を締めて、翌月末日までの支払い。加えて、支払いがされなかったときの遅延損害金の設定。

(実施報告)販売量や売上を報告する条項。実施料の基となる数字なので、監査の取り決めもする。誤差が許容範囲に収まれば、監査費用は特許権者が支払、超えてしまえば実施者が払う。

(対価の不返還)特許は取り消されたり、無効になったりする場合がある。また、対象特許が製品を作る上で関係なかった事が後々に判明する場合がある。その時にこの条項がないと、利息を付けての返金を迫られる。

(保証)特許権者が第三者の特許を侵害していない事を保証する。又は、保証しない。そして実施者の製品が、第三者に損害を与えた場合、法的、契約上の責任を負わない。など

(特許維持)特許は維持費がかかり、支払日から6ヵ月過ぎると失効してしまう。また、特許侵害者に対して差し止め請求を特許権者がしなくてはならない。契約条項で実施権者にさせる事もできる。

(第三者の権利侵害)特許権者と実施権者が協力して対処する。侵害を発見した場合の報告義務と協力義務。」そして費用負担の取り決め。

(改良技術)実施者が実施している特許に係る発明をして、特許出願する場合の事前通知義務と実施者が特許をとった場合、合理的な条件で実施を逆に今の特許権者に与える取決め。ここはエグイ条項を入れると独占禁止法にかかる。例えば、実施者の所得した新特許の譲渡義務。特許権者の特許を基にしてとった特許なのでよこせ。不公正な取引に該当する場合がある。

(表示)ディズニーのキャラクターグッツに付いてるようなシールやガンダムのプラモデルの箱にサンライズというシールが付いているイメージ。

(特許権の譲渡)特許権者の特許を第三者に譲渡する場合は、事前に実施者に通知する事。不動産の賃借人のように通知を受けた新たな家主に、家賃を払えば解決という訳にはいかない。特許権者から実施者に技術指導などが行われ、その対価も含んでいれば、新たな特許権の譲受人に支払を変えればいいという訳ではない。ここは丁寧な取り扱いが必要。

(不義務)実施者が、この特許は無効だ。また、有効性を争ったら、この契約は終了します。という条項。

後は、反社条項、解除、契約期間(終了後に残った特許製品の販売は〇か月まで)合意管轄

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知的財産に関する契約

取引契約条項別の文例作成とチェックポイント─債権法改正等に対応した契約担当者の実務─ 単行本(ソフトカバー) – 2020/8/10 経営法務フォーラム (編集)

 知的財産に関する契約は、他の民法を土台とした契約と違って「知的財産基本法」と「判例」を踏まえて作成する必要がある。

 まず知的財産の定義。知的財産基本法第二条 で「知的財産」とは、発明、考案、植物の新品種、意匠、著作物その他の人間の創造的活動により生み出されるもの(発見又は解明がされた自然の法則又は現象であって、産業上の利用可能性があるものを含む。)、商標、商号その他事業活動に用いられる商品又は役務を表示するもの及び営業秘密その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報をいう。

 人間の「知的活動」によって生み出されたアイディアや創作物などには、財産的価値を持つものがある。そうしたものを総称して「知的財産」と呼ぶ。法律で規定された権利や法律上保護される利益に係る権利として保護されるものがあり、それらの権利を「知的財産権」と呼ばれる。それらは、特許権、実用新案権、育成者権、意匠権、著作権、商標権その他の知的財産に関して法令により定められた権利又は法律上保護される利益に係る権利をいう。

 もう少し柔らかく表現すると、知的財産は、脳によって生み出される情報。目に見えない考えで形がない。その考えを形にすると複製される性質がある。なので法律で定義して、手続きによって可視化(創作物、標識、ブランド、営業秘密、ノウハウ)して保護して活用していこうという趣旨。知的活動の保護が目的。

 知的財産法とは、無体物を創出した者に認められる、物の所有権に類似した独占権です。 特許権・実用新案権・商標権・意匠権・著作権等があります。それぞれ独立した法律として特許法、実用新案法、 意匠法、 商標法、 著作権法、不正競争防止法がある。

特許権・・・技術的なアイディアを文章などで表現して書いた書類を特許庁に申請して審査の後、言葉で表現された範囲に独占権が発生する。(独占禁止法が適用されない。運用でエグイ条項を入れると適用される。)

では、そもそも「特許」とは、それは「高度な発明が対象」物、製造方法、それ以外の方法でコンピュータープログラムなど。20年の保護期間。「新規性と進歩性」を審査されて通ったら権利が発生する。出願して審査請求して審査が始まる。審査請求を5年位引き延ばせる。

次に「実用新案」発明ではなく、「考案」を保護する。発明ほど高度ではないが、保護の対象。物品の製造、形状、それら組み合わせを保護する。特許のような「方法」は保護できない。技術的なアイディア。プログラムは対象外。ほぼ必ず登録される。保護は10年間。出願されたら全て権利が発生する。審査がないので信頼性や安定性が、特許に比べると弱い。なので特許庁に技術評価の審査を請求できる。審査の後、新規性、進歩性を踏まえて技術評価書を所得できる。新規性、進歩性がなければダメ。

意匠はデザイン。商標は、事業者が、自己(自社)の取り扱う商品・サービスを他人(他社)のものと区別するために使用するマーク(識別標識)です。著作権は、「著作物」を創作した者(「著作者」)に与えられる、自分が創作した著作物を無断でコピーされたり、インターネットで利用されない権利です。権利の束。

 知的財産は経営資源。実施権(特許発明を実施するための権利(ライセンス))を契約して特許を使わせて対価を得たり、売買したりする。民法が土台の契約だと、契約に書かれていない事は、民法や民法の特別法で処理されるが、知的財産に関する契約は、判例が多用される。裁判も知的財産高等裁判所という専門的に扱う裁判所がある。

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代理店契約書

実践!! 契約書審査の実務〈改訂版〉 単行本 – 2019/3/14 出澤総合法律事務所 (編集)

 契約のイメージとしては、例えばイタリアの南部にパスタを作ってるメーカー(製造元)A社がある。日本のB社は、イタリアのA社から輸入して日本で売りたいと考えている。A社は、日本での販売の手段や販売ノウハウを持っていない。一方のB社は日本での販売ノウハウや販売網を持っている。A社とB社は販売の提携をして、お互いのビジネスを発展させる事ができる。この契約は、取引基本契約であり、個々の個別契約の条項を補う契約である。

 B社は、A社の日本の代理店として、委任契約を結んで、A社の製造したパスタをA社の為に日本の顧客に売る契約を行う。その顧客が売買契約をするのは、A社である。B社はあくまで代理店としてパスタを販売する。値段は最終的にA社が決めて、販売した手数料をA社から受領して。B社は売上とする。返品がきくので在庫リスクは負わない。

 契約当事者は、A社と日本の顧客です。パスタの販売価格はA社が決めます。B社の利益は、パスタを売った事による手数料で。在庫リスクはA社が負います。

 一方、代理店契約と類似で、「販売店契約」というものがある。代理店との比較で、販売店は、A社からパスタを仕入れ、B社が顧客との間で契約当事者になり、パスタの販売価格はB社が決める。在庫リスクは、B社が負う。また日本のある地域において販売独占条項を置くと、製造元のA社もその地域でパスタを販売できない(テリトリー制)。その為、A社から最低販売数量が設定(クリアできなければ逸失利益分の損害賠償が請求される。)されて、B社はその販売最低ラインをクリアしなくてはならない。加えて商標の仕様も許可され、販売促進等にも条項があり、競合品の取り扱いにもA社からの要求がある場合がある。また商品が改良された場合、取り扱いはどうするのかについての条項もある。あと契約期間。自動更新条項で長く更新していると製造元からの解除が争いになる場合がある。

 契約の注意点としては、まず別紙で扱う商品を特定する。そして代理店、販売店として行う業務をしっかり特定する(業務の明確化)。次に代理店の手数料の発生時期と支払方法。顧客に商品を売った時(例えば5月に引き渡す)、顧客が入金した時(月末締めで翌月払いで、入金が6月)手数料発生から支払を受ける日は、それぞれ1ヶ月ずれる。細かく決めないと認識の齟齬が表面化して紛争の種となる。顧客の入金先をどうするのか、製造元か、代理店か、例えば、代理店が支払いを受けて、手数料を引いた金額を製造元に振り込むのか、ちゃんと決めないと揉めます。人それぞれ常識が少し違うし、決めてない事は、それぞれ自分に都合のいい方に考えますので、細かく認識を一致させて文書に落とすことは大事です。

 上記の例は、わかりやすく海外と日本という設定にしましたが、国内で製造した商品を国内で売ってもらう為に代理店を募集する事はよく行われています。

 応募があって条件にあった代理店と契約をするのですが、一般的には販売促進をして顧客を開拓して、紹介して下さい。説明と契約はこちら側でやります。次に説明と契約まで任せます。なのでその都度、条項で通知義務を定めますので報告して下さい。代理店にどこまで任せるのかを明確に定めておく。そして通知・報告義務を課して状況を把握できるようにしておく。製造元に顧客から苦情がくる。「契約の前に説明を受けたのと違う。」製造元は、代理店に問い合わせる。「どういう説明をして売り方をしているのか」もし通知・報告義務を明確に細かく定めてないと「順調ですよ。ちゃんとやってますよ。問題ないですよ。」でかわされてしまう。製造した商品だけを納品すればいいだけの契約にすると弊害も出てくる。そこで禁止事項と契約解除条項をリンクして定める必要がある。「自分のメリットしか考えないのも結構ですが、デメリットも含めてメリットを考えて下さい」という契約条項。加えて製造元からすれば、再委託の禁止(事前に書面での許可を得る事)や立入検査条項(報告をお願いしても引き延ばして埒があかない。何をやってんのかわからない)が入れば効果的。

 例えば、特定商取引法の規制対象となる「電話勧誘販売」。営業電話がかかってきて断っているのに、また何度もかかってくる。」これは、再勧誘の禁止(法第17条). 特定商取引法は、電話勧誘販売に係る契約等を締結しない意思を表示した者に対する勧誘の継続や再勧誘を禁止しています。
 「営業は、断られてから始まるもの」とか電話営業では通用しなくなっている。法令に違反する勧誘行為。その他競業避止、類似製品の並行代理など

贈与契約書

改正民法と新収益認識基準に基づく契約書作成・見直しの実務 単行本 – 2018/11/20 横張 清威 (著), 伊勢田 篤史 (著), 和田 雄太 (著)

 贈与とは、「あげます、頂きます」と当事者の合意で成立します。他の契約と同じで、口頭で成立します。ただ、他と違うのは、口約束の場合は贈与契約を解除できることです。(民法550条)但し、贈与の対象物を相手に渡して贈与契約の履行が終わった部分については解除できません。(やっぱりやめる。「返して」と言えない)

 また、他の契約と同じように、口頭や書面でも、詐欺や脅迫、未成年者の行為やその他、民法の規定で取り消せます。

 書面によらない口頭による贈与を解除できることの反対解釈として、書面による贈与については、原則として解除が認められません(民法550条)

 贈与契約書を作成して当事者の合意を書面に落とせば、渡す側の「気分」や「考え」「心変わり」で解除できなくなります。受け取る側は、渡す側の気持ちが変わらない内に書面に書いて貰うのがいいかと思います。何を書いたらいいのか?必要事項を書いてないと贈与が成立しない場合があります。なので贈与契約書の作成を承ります。また内容証明郵便や調停調書など、贈与契約締結に向けた当事者双方の意思が明確に表れた書類はすべて「書面」に該当します。

 渡す側の誠意として、贈与契約書を作成して、解除しないで贈与しますという意思表示をしましょう。

 受け取る側は、感謝の気持ちとお礼の言葉で、税金関係の手続きの為とお願いして贈与契約書を作成して署名捺印を頂きましょう。有効な書面を交わす事により、双方が書面の内容を反故にする事はできなくなります。

 係争になるのは、渡す側の心変わりかと思います。絶対後悔しないという覚悟がなければ、プレゼントするという思いは口にしない方がいいと思います。書面がなければ、お決まりの「言った言わない」の水かけ論で、どちらかが折れなければ、解決不可能になります。

 当事者の合意により契約が成立し、それが法律行為となり、それに反すると「違法」となります。また違法と主張する者が、立証責任を負います。なので受け取る側こそ贈与契約書の作成が必要不可欠と思います。また贈与の対象が不動産ですと、「移転の原因を証する書面」として贈与契約書が必要で、ないと登記が移転(名義変更できません)できません。(登記の依頼は司法書士へ)あと、有価物や金銭を動かすと贈与税が発生してしまいます

贈与契約の種類4つ。贈与契約、負担付贈与契約、定期贈与契約、死因贈与契約

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