フランチャイズ契約書 審査

契約書リーガルチェックのポイント-事例でみるトラブル条項例- 単行本(ソフトカバー) – 2020/4/3 秦 周平 (編集), 仲 晃一 (編集), 山中 俊郎 (編集)

 フランチャイズ契約書は、2か月以上のコンサルティングを経て60条から70条で構成して出来上がるものです。当事務所は、審査のみお受け致します。

 フランチャイズ契約は、4つの契約が合わさっています。商標使用許可、商品取引、開店支援(請負)、コンサルタント契約(準委任)

 商標は商標権を所得する。権利の上に契約しないと崩れてしまいます。登録できるか?代行は弁理士。別紙に仕様を許諾する商標を特定する事。権利の商標権等は本部に帰属する。加盟店が不正使用しないように。目的外に使用できない。類似、改変して商標登録・出願しない事。第三者等に仕様刺さない事。

 商品取引
 加盟者の為に適切と判断する商品、仕入先、買取価格を推奨する。(優先的地位の濫用、抱き合わせ販売、拘束条件取引、再販売価格の拘束にあたる場合があるんで、表現に気をつける。)
×定価〇円で販売する 〇希望小売価格を尊重する。

経営のノウハウに関する事項
 開店支援(請負)、コンサルタント契約(準委任)
マニュアルと研修と訪問とその他連絡手段により提供する。その一つ一つを細かく決める。改変してはいけません。第三者に開示してはいけません。特許として登録をしてはいけません。研修は必ず参加する事、その場所、費用は自己負担、営業開始までにすべき事。営業開始後の訪問回数、指導相談の連絡方法。

 テリトリー条項
 独占的テリトリーを有しない。本部は加盟店に通知する事によって加盟社の営業区域内に新規出店をすることができる。
 テリトリーを設ける場合、営業区域を設定して、区域外の・・・事細かく本部は決めることができる。

 加盟金・ロイヤリティー条項
契約時にフランチャイズの付与の対価として加盟金を支払う。加盟金・ロイヤリティーはいかなる事情があっても返還を請求できない。支払計算期間、毎月末日締め翌月末日までの支払い。本部は、ロイヤリティーは、毎年度末に見直すことができる。(固定の〇%という正解はないので加盟者の全体の経営を踏まえて、地域差など複数の要因を加味して上下させる。)本部への支払いの遅延損害金は14.7%とする。

 保証金
 債務及び損害賠償の保証として金〇〇〇万円を受領する。本契約終了後1か月以内に債務を清算した残額を受領時から利息を付けないで返還する。

 広告
 加盟店が個別に広告をする場合、事前に本部の書面による承諾。また加盟店から広告費を集めて本部が広告をする場合の取り決め。

 競合避止義務
 直接、間接を問わず(第三社にやらせない)同等類似の事業を行ってはならない。参加、出資、従事もダメ。契約終了時も24か月は、加盟店の住所の市町村及び隣接市町村で同種、類似の事業を行ってはならない。

 保険
 加盟社の負担で本部の指定する保険に入る事。証書の写しを本部に提出すること。保険に入らずに営業を始めてはならない。

 秘密保持義務
一般嬢事と同じ

 立入検査
本部の委託を受けた会計士の立入検査。加盟者は誠意を持って協力する。費用は5%以内の誤差の場合は本部が負担し、5%超の誤差の場合は加盟店が負担する。

 反社条項
一般嬢事と同じ

 契約解除
一般条項と同じ。本契約に違反した、手形の不渡り、破産、

 損害賠償
ロイヤリティーの24か月分に相当する金員を損害賠償として支払う。(額が大きすぎると裁判で無効となる。部分的無効となるのか、公序良俗に反すると言って条項そのものが無効になるかのリスクがあるので、判例を踏まえた金額にすべき)

 契約期間
本契約期間は、契約締結日から3年(5年)とする。契約満了日から6か月前までに本部及び加盟者から書面による解約の通知がない場合、更に3年(5年)間自動延長され、以後も同様とする。

 誠実協議義務・裁判管轄
本契約の規定のない場合は、及び条項に疑義が生じた場合は、信義誠実の原則に則り協議する。また(本部の住所地を管轄地方裁判所)〇〇地方裁判所を専属的合意管轄裁判所とする。

 

  売上が上がらないと、とても維持できない契約内容です。本部を守る条項がほとんどですが、お互いパートナーとしてウィンウィンの関係を維持するんは、信頼関係を崩さない双方の本気の努力が必要です。

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フランチャイズ契約 考察②

企業における裁判に負けないための契約条項の実務 単行本 – 2023/12/11 阿部・井窪・片山法律事務所 (著, 編集)

 フランチャイズ契約でよく問題になるのは、欺瞞的勧誘と情報提供義務違反。本部が「契約前に言っていた事」と「契約内容」と「現実の売上」が、大きく乖離してしまう事案。「こんなはずじゃなかった」と辞めたくても、契約期間があって、契約期間を赤字でも全うするか?違約金を払って辞めるか?二者択一に嵌る。契約期間条項と違約金条項が契約書に入っていて、一度契約したら、簡単には辞められない。(他の契約も簡単には解約できないが、フランチャイズ契約は毎月ロイヤリティーが発生する)

 フランチャイズには、建設業法とか宅建業法のような「業法」という法律は存在せず、中小小売商業振興法と公正取引委員会のガイドラインで規制されている。前者は商店街整備の条項からなる法律で罰則は、第16条の10万円以下の罰金である。そして後者は、ガイドラインであって法律ではない。裁判でも、専門な法律はないので、独占禁止法の優先的地位の濫用や判例(広い意味での規制)を根拠に主張するしかない。
 つまり、「契約書の条文が強い力を持っている」のです。例えば、契約期間の中途解約の違約金。それを規制する法律はなく、どうしても続けられず、契約途中で辞めたいが違約金が払えない。「払えない」と本部に懇願しても、「契約は契約ですから」とにべもなく債務が残ってしまう。裁判にかけても、事前に納得して合意して署名捺印されたんですよね?と必ず聞かれます。権利と義務が成立した契約に拘束されてしまうのです。
 本部側も、積み重ねたノウハウを開示して経営指導までしていて、すぐ辞められるとまずい訳です。ただ辞めた後の「競合避止義務は、近隣で24か月」が判例の目安で、県単位5年とか決めると優先的地位の濫用とかで無効になるのは加盟者有利な判例です。

 1200を超えるフランチャイズ本部があって、それぞれ玉石混交です。加盟金と機材購入の金額、初期投資額に注意です。割合小さな本部で、初期投資300万円で、「後は自分で営業して頑張って下さい。」初期投資が相対的低く(裁判すると弁護士費用で赤字)、加盟者の営業力次第と謳ってるFCは、用心です。1人に1000万円使わせて裁判沙汰になるなら、3人に300万円ずつという計算なのでしょう。

フランチャイズに加入とういのは、希望的観測を止めて全方位的な調査をお勧め致します。契約書も、本部にかなり有利な内容で、他との公平を期すため修正は難しいでしょう。判を押すか?押さないかの? 選択を迫られ、それでも不利な契約書を、飲んでもなおメリットがある理由がないといけません。
 

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フランチャイズ契約の考察

図解即戦力 契約書の読み方と作成がこれ1冊でしっかりわかる本 単行本(ソフトカバー) – 2024/1/27 太田 大三 (著), 堀口 佐耶香 (著), 尾臺 知弘 (著), 高橋 香菜 (著)

 契約当事者は、フランチャイザー(特権を与える者)本部とフランチャイジー(特権を与えられる者)加盟店・加盟者。一般的な契約より条項が多く、本部がかなり有利な契約である。フランチャイズ本部は、現在大小1282件ある。外食・サービス・小売りが大半である。

 ある程度事業が成功してノウハウが構築されると、フランチャイズ化して加盟店を募集する。そのメリットは、自己資金をかけずに多数の店舗を展開でき、加盟料、ロイヤリティーなどの収入が得られる。(本来なら、店舗予定地域にリサーチかけ、立地のいい不動産を探して、契約して、内装外装工事して、機具やレイアウトを整え、水道高熱契約して、従業員を求人して、面接して、雇用契約して、社会保険手続きをして、トレーナーを派遣して、研修して、商品を納入して、広告をかけて、営業開始。順調に売り上げを伸ばせばいいですが、不振で閉店になると、従業員の転勤など面談して、店舗の現状回復の為、内装外装工事、不動産契約の解除して撤退。開店準備から閉店作業まで全て自己資金や借り入れで負担しなくてはならない。)

 フランチャイザーのコストは、管理コスト、研修コスト、指導フォローコスト。希望者と面接して、決めて、契約して、研修して終わりではなく、加盟者に寄り添っていかなくてはならない。

 紛争に至る最大の原因は、「予想通りに売上が上がらない事」

 勧誘する時、ハッピーシナリオの売上予測(右肩上がりの売上グラフ)を基に事業計画書を提示して、加盟者に厳しい契約書に署名捺印を促したのかもしれません。
 本部の言う通り加盟金を払って、研修を受けて計画通りに売上が上がらない。それで加盟店は、本部と険悪になり、契約を無視して勝手にやるようになり、大きなトラブルとなる。事業継続が不可能になり、解約違約金とかもあり訴訟となる場合がある。

 広告のモデル月商は、以下となることが多い。しかし、広告の加盟金、保証金、研修費、工事費、備品費用の金額は、ほぼ確実に出るお金。それに加えて家賃、ロイヤルティー、水道光熱費、原価の固定費も必ず出ていく運営費。しかも人件費にオーナーの給料が入っているのか?もしモデルケースのように月商が上がっても、営業利益は、税引き前の利益で、オーナー自身の家賃、もしくは住宅ローン、社会保険料、教育費、食費など支払うと非常にマズい事になる。広告のモデルケースは、月商はあくまでモデルケースだが、支出項目は確定した支払となる。月商が想定より低くなると、すべて数字が倒れる。撤退にも、ノウハウの開示を受けた手前、違約金が発生する。

 本部の提供する売上シュミレーションは、必ず「売上を保証するものではありません」という文言が入っています。また、地域性、近隣の競合、認知度などから、本部のノウハウの再現性が、シュミレーションのグラフ通りいかないのも大いにあり得ます。
 しかし、その地域にあったやり方を練って、加盟店側の努力と本部の手厚いサポートというもので、売り上げを作っていくというのが本来のフランチャイズです。

  トラブル事例
 本部のビジネスモデルが、不明瞭。マニュアルも大雑把で再現性がなく売上アップに繋がらない。指導人員も足りていない。「加盟金目的」入金後、形だけの研修とサポート。放置気味。

 直営店の利益率が8%で儲かっているのでFCに入りませんか?加盟金が300万円、ロイヤリティーが8%。「直営は8%ですが、もっと伸びていけば繁盛店になるとセールストーク」信用して加入。マニュアルもしっかりしていて、研修も充実していて、いざ開店。集客もうまくいって、利益率8%を達成。しかし、開店のセールから落ち着いて、利益率が4%~6%の推移するようになっていた。ロイヤリティーを払うと0か赤字になってしまう。こういう状況が続き・・・
 しばらく後、本部から提案がなされる。「赤字が続いていますね・・本来なら撤退も考えなくてはなりませんね。我々の力不足もあります。今月限りの提案なんですが(期限を区切る。2~3週間)解約違約金を本来300万円を0円にして、この店舗を300万円で買い取ります。」という提案をする。毎月0か赤字の仕事に疲弊して、提案を受ける。本人は、1000万円以上店舗にかけたが、違約金300万円払わずに済み、300万円で本部が買い取ってくれる。競合避止義務を24か月を負うが、撤退できたと安堵する。
 これは最初から、本部が得する合法的なスキーム。その加盟店が繁盛して10%以上利益率を出せば、ロイヤリティーで利益を得る。反対に赤字なら、買い取って直営店にして4~6%の利益率の店舗を維持する。直営店舗にロイヤリティーは不要。また利益率を上げない為に契約で仕入れ先を指定する。その仕入れ先と本部は繋がっていて仕入れ品の値段を高めに設定する。売り上げに重石をして置く。直営店になったと同時に重石を外して利益率を上げる。

 得るはずだった違約金は契約上の数字。買い取った代金の300万円の原資は、もともと加盟店が支払った加盟料。右に行こうが、左に行こうが儲かるようなフランチャイズ契約を基にしたスキーム。

 資料や契約書をよく読み解く事の大切さ。そして、現地調査。繁盛店に行ってリサーチをする。そこがメンドクサイとかで、カットすると、経営もうまくいくとは、懐疑的になる。

 トラブルの多い契約です。「契約を急かしたり」「絶対」ってワードが出て来たら要注意です。更に中小小売商業振興法で定めている主な事前開示事項
① チェーン本部の概要(株主、子会社、財務状況、店舗数の推移、訴訟件数等)
② 契約内容のうち加盟者に特別な義務を課すもの等、加盟者にとって重要な事項
○テリトリー権の有無
○競業避止義務、守秘義務の有無
○加盟金、ロイヤルティの計算方法など金銭に関すること
○商品、 原材料などの取引条件に関すること
○契約期間、 更新条件、 契約解除等に関することなどです

  上記を踏まえて
「みんコレ!」の「契約前にフランチャイズ本部へ質問すべき15のこと~保存版~」

  最低限の調査事項です。

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コンサルティング契約

新民法対応 契約審査手続マニュアル 単行本 – 2018/3/5 愛知県弁護士会 研修センター運営委員会 法律研究部 契約審査チーム

 作家イザヤ・ベンダサン氏(山本七平氏)の約40年以上前著書「日本人とユダヤ人」でこのように述べています。  「日本人は水と安全はタダと思っている」
 時は流れ、水はミネラルウォーターが普及しコーヒーや炭酸飲料と値段は変わらない。安全もセキュリティーソフトやセコムなど無料という概念はなくなった。派生して「水と情報はタダと思っている」と聞いた事がある。良好な人間関係で好意によりタダで!「えっ?ダメ」「教えてくれたっていいじゃない?減るものじゃないし。ケチ!」それはサービス業に対する社会的評価の低さと専門知識に対する認識不足なのかもしれません。

 専門知識をゼロから「教えるレベル」まで持って行くのは、時間、労力、資金を投資しないとなかなか難しい。それも細分化、専門化した社会経済では、いくつも専門知識を内製化するのは、ロスにつながる。例えば、レストランの内装のデザイン。ゼロから自分で学んで、「人の感情に与える色から~」それでは開店までの資金計画が立たない。自分のイメージをデザインに反映させるデザイナーに依頼すれば、自分のデザインをゼロから学ぶ時間、労力、資金をコンサルティング契約料に比べて節約できる。

① コンサルタント契約とは、受託者の高度な専門知識、豊富な経験に基づくアドバイス提供を目的とする契約です。受託者の専門性や経歴、資格などは、事前に十分調査して検討しましょう。あと契約までは、熟練コンサルが対応して、契約後はメソッドを学んだ新人が多量に配置される場合があるので、契約の条項で「過半数は業務歴〇年以上の社員とする事」また、再委託条項があって、熟練コンサルが営業から契約までして、後は再委託して利ザヤを抜くやり方もあります。いずれも契約の条項で作れてしまうドラマなのです。雛形では「再委託には事前に書面による承諾が必要」と書いてありますが、再委託の予定なら、契約時に説明する。そして承諾なくても再委託できるように条項を整える。準委任契約なので修正表記が必要。

② コンサルティング契約とは無形のサービス提供です。対象の業務内容が曖昧で、委託者のイメージとは一致しない場合が多いです。委託者の期待が大きく認識の齟齬のズレ幅が広いと後々料金返還訴訟という形の紛争になってしまいます。なので事前に合意して契約書に落としておかないといけません。まず具体的に業務内容を盛り込む。業務の特定。どういうサービスを提供するのか?どこまで実施すれば料金に見合うサービスを提供した事になるのか?それと委託業務から除外する範囲も表記する。続いて、毎月の業務にかける時間の上限や別料金がかかるケースについて。(助言は契約範囲内ですが、実施には別料金も申し受けます)

③ 業務の遂行方法を明確にする。コンサルティングを行う方法、場所、頻度など認識の齟齬が生じやすい。コンサル側は、電話かズームで月数回の相談助言のつもりだったが、お客さんは、「えっ?訪問しないんですか?重要な事って会って決めるものじゃないんですか? 現場も見ないで、何がわかるんですか? 本当に頼っていいんですか?」 契約書に何も書いてないと不信を抱くし抱かれる。双方「電話かズームで月数回の相談助言」で納得して、契約書のコンサル料を払うと払う事を合意できていれば何の問題にもならない。

④ 契約期間 コンサルティング契約というのは、業務委託契約の準委任という形態の契約なので、取決めがない場合いつでも解除できます(民法651条1項)
 スポット契約か?期間契約か?期間の場合、中途解約や更新はどうするのか?中途解約について論点があるので以下に。
 コンサルティング業務というのは、何かの問題解決を目的とするもので、恒常的な事務の委託を目的とするものではありません(顧問契約との違い)
 問題解決には、たいてい最初の方に凄く労力(ノウハウや高度な知識や経験からの解決策の策定と実施計画と指示)がかかるものです。何事もゼロイチとか軌道修正とかの、変化を起こして軌道に乗せて安定航行に至らせる最初が、たいへんな労力が必要です。また成果が出るまで時間がかかります。
 なので途中で解約されると報酬が見合わなくなります。中途解約を禁止する条項を加える必要があります。しかし、委託者側からすると、いろいろな事情(コンサル内容に満足できない、部門の撤退が決まってコンサルが不要になったなど)で解約できないのは不安。その場合、最低契約期間を設けてその期間前に解約する時は、違約金を払う条項を設けて合意するのが最善です。

⓹ 報酬 
 時間制(タイムチャージ・・・作業時間・拘束時間に応じて報酬が確定すること)定額制(月額、年額) 段階に応じた支払 着手金、中間報酬、成功報酬・歩合などがあります。報酬は合意により設定は自由です。
 提供するコンサルティング業務に合った報酬支払方法を設定する事が必要。売上増加や集客の案件なら、前月からの売上、利益増に対して「増加額の〇%」など。そして紛争になりやすいのが、売上や利益に連動して報酬額を決めるパターン。コンサルによって増加した売上をハッキリ計上するのは難しい。もちろん下降状況がV字回復のような例外を除いて。どこまでの売上げを加えるのか?利益はどこまでの経費を差し引くか?算定方法を詰めて契約時に合意して明確にしておかないと、紛争につながりやすい。
 上記のような特定の案件に限らない継続的なコンサルト業務の委託なら、月額報酬制をとる場合が多い。

⑥ 著作権の取り決め
 委託先に提供する予定の資料(分析内容、提案書、レポート)などの委託者の為に作成した著作物は、(汎用的著作物で、今後他社へのコンサルで使う可能性があるものを除いて)引渡しと同時に譲渡する。

⑦ 報告義務
 毎月末日までに、本件業務の遂行状況を書面にて報告しなければならない。契約書に書かなくても、準委任契約では、受託者は作業の報告義務を負っています(民法645条)しかし、「書面で」「毎月末日」と契約書に書かないと、電話やラインで簡単に済ませられるし、数か月に一回の頻度にする事も可能。委託者側有利条項として「委託者が必要と求める場合、資料と報告を求める事ができる。などの条項も入れる。

⑧ 秘密保持
 第三者に再委託する場合は、その方とも秘密保持契約を交わして下さい。第三者が情報漏洩したら、責任を負うものとする。コンサル有利条項なら「再委託者が第三者に開示、遺漏しないよう努めなくてはならない」

⑨ 契約の解除
 無催告解除は、重大な契約違反、差し押さえ、不渡り、など一般条項と同じ

➉ 契約上の地位・権利義務譲渡の禁止
 再委託ではなく、契約上の地位・権利義務を譲渡をしてしまったら、契約そのものが意味がなくなってしまう。

⑪ 反社条項
 警察がモデル条項例を出してますが、(売買、媒介、不動産、建設など)重いものが多い。それより、1条で反社に所属してませんね?将来も所属する予定はありませんね? 2条で自ら及び反社を使って、反社的な言動や要求の通し方しませんね? 3条で上記の場合は、催告なして契約を解除しますよ。4条で、解除して損害がでた場合に解除した側は損害賠償責任を負いませんよ。でいいと思います。

⑫ 協議条項・合意管轄
 

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秘密保持契約

秘密保持契約の実務(第2版) ―作成・交渉から営業秘密/限定提供データの最新論点まで 単行本 – 2019/9/14 森本 大介 (著, 編集), 石川 智也 (著, 編集), 濱野 敏彦 (著, 編集)

 一般には公開されていない情報を開示するにあたり相手側に対し、開示した情報を第三者に開示することなどを禁止する契約をいう。(NDA)ノン ディスクロージャー アグリーメント Non-Disclosure Agreement

利用例 業務提供検討する為お互い自社の情報を出し合いする場合、製品の共同開発でお互いの技術情報をだし合う場合、システム開発の為にベンダに出す情報、M&Aに関する情報開示など

契約で開示情報の第三者に漏洩や目的外使用などを禁止して、開示するにあたっての取り決めを守る義務を負わせること。契約違反にあたれば損害賠償請求という流れになる。

目的は、何のために情報が開示するのかが明瞭となり、契約を解釈する指針となるので、広すぎず狭すぎず書いた方がいい。目的が広すぎると目的外に利用される恐れがあるし、狭すぎると契約違反にかかってしまう。まt、抽象的し過ぎると解釈上の問題にあたる。

秘密情報の定義 開示する情報全てにするか、それとも限定するのか。例えば、秘密情報と記した紙面に限定するのか(口頭で開示した秘密情報は、当日から7日以内に内容を記した紙面に秘密情報と明記する。電子書面は、パスワードを入力しないと表示されないようにする)
 通常規定される4つの例外を記載する。そして義務の例外、裁判所からの書類提出命令など(この場合開示者に事前に通知して、必要最小限の提出とする)契約条項の表記を工夫をして権利を守るようにする。

 あとの条項は、目的外使用の禁止。秘密情報の管理。複製の禁止。秘密情報の返還破棄。損害賠償。差し止め。有効期間。誠実協議。紛争処理。15条未満の契約書になる。

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システム保守委託契約(ITビジネス契約)

ITビジネスの契約実務〔第2版〕 単行本 – 2021/10/18 伊藤 雅浩 (著), 久礼 美紀子 (著), 高瀬 亜富 (著)

ソフトウェア開発契約書(一括請負型)
 要件定義を含めた全行程を1本の請負契約とする。どんなシステムを作るか見えてないので、いくらコストがかかるのか?どの位期間がかかるか?わからないのである。
 どの位の赤字がでるのか、紛争含みの受注を覚悟するのか?保守契約5年縛りで、開発と保守契約の2本でコスト面をクリアするのか?工夫しないと一括請負型は受けない方がいい。特に全社型システム開発は、様々な部署から様々な仕様要求が来て、契約に縛られマズい状況に追い込まれる。相手の業務に無知なら、無茶ぶりは起きる。(例えば、消費税はモノやサービスの提供に課税されるのだが、普段スーパーで買い物して消費税を支払っている主婦がいるとする。ある時に家のガラスが割れたから、交換をガラス屋さんに依頼。交換後に請求書を見る。ガラス代+消費税、設置料+消費税と書いてある。クレーム案件となる。「ガラス代はモノを買ったものだから消費税が掛るのはわかるけど、設置料に消費税がかかるのはおかしいのではないか?」
 こういった認識の齟齬からクレームとなり、紛争に至ります。一括請負型を選択するなら、契約前の事前の擦り合わせがとても大事です。

業務委託契約書(要件定義・準委任契約)
 タイトル、前文、委託業務、準委任契約、作業分担(ユーザーがシステムの機能要件及び非機能要件をベンダに提示する。ベンダはそれに基づいて要件定義書を作成する。)作業期間、委託料及び支払方法、と続いて、要件定義書(ユーザーとシステム会社の責任者に承認させる。後になって要件が漏れてました。そんなシステムは技術的につくれません。と後出しを防ぐ)著作権(要件定義書にも著作権が発生する)

ソフトウェア開発基本契約書(アジャイル)
 臨機応変型の開発形態。本来は、後からの仕様変更要求は、契約変更である。相手側は応じる義務は民法上なく、一度合意した事を履行を強制し変更に応じない権利を有しています。
 しかし、それでは開発を進めて見えてくる要望に対応できません。アジャイルは要求、開発、テストを個別契約で繰り返す開発形態です。試行錯誤型なので完成につながらないデメリットもあり、大規模なシステム開発には向きません。

システム保守委託契約
 議論となりやすいのは、障害対応は保守契約の範囲なのか否かです。問い合わせ対応の必要性。システムの提供時にマニュアル等の説明書や仕様書も提供されるが、それのみでユーザーが十分に対応できるか?使用方法や設定方法は?

 保守委託契約とは、大きく2つあり、。1つは「運用」マニュアル手順の仕事。ネットワークの監視作業、サーバー動作のチェック、サーバールームの入退室管理、確認結果の報告書を作る。仕事をこなすには、マニュアルの製品機能を理解して、ハードウェアや様々なソフトウェアの仕様を覚える。バージョンが上がった場合、手順の変更に伴うマニュアルの修正。製品知識を知った上でドキュメントに落とし込む作業など。
 2つ目は、「保守」システムの障害対応(アラート対応)。トラブルが起きた時どう対処するのか?技術的な問題を解決するのが大事な業務。障害マニュアルから対応フローに従って動くことになる。ある程度知識がないと、マニュアルを読み解けない。システムの構成、製品知識、ソフトウェアの理解。正業化プログラムを走らせ、監視ソフトウェアをチェックして、障害が大きければ責任者に連絡して、システムを止めてバックアップをしないといけない。そして、「問い合わせ」にも知識が必要。「こういった事象が発生して困っています。調査して復旧させたいがどうすればいいのか?」問い合わせ先のシステムエンジニアは「どういった環境で?OSのバージョンか?使っているソフトウェアの名前とバージョン?」どういったエラーが発していて、なぜ問い合わせたのか?と伝えられなければならない。それで、調査するにもログファイルが必要だったりするので、サーバーから集めてサポートセンターに送ったり、ネットワークのログをスクショして送ったりして傷害の状況を調査するための材料を送らないといけない。マニュアルに載っている手順とイレギュラーなログの収集を指示される間合いもある。サポートからのメールで手順が示されていて、コマンドを打ったりGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)の画面を操作したりしてログを集めたりとか。サーバーが壊れる障害だったら、別のサーバーでサービスを立ち上げたり、壊れたサーバーをバックアップ、復旧操作とかも保守の仕事。あとマニュアルに書かれてない対応も、日頃相当な知識を広める努力をしておかないと対応ができない。マニュアル以外の事もしなくてはならないので技術力(トラブル対応力が求められます。
 契約不適合責任に基づいても、期限があるし緊急対応に応ずる体制になってない場合、どう解決すべきか?また契約不適合の範囲外であった場合(保守の範囲)立往生することになる。また長期に渡る契約なので慎重な交渉と検討を行った上で締結する事が最善。対応は平日の営業時間なのか?土日対応は?夜間は?契約不適合責任期間と有償対応の契約上の兼ね合いなど。
 保守契約上再委託は認めるのか?システムが動いて生の情報が動いているので、守秘義務上再委託のリスクをとるのか?担当責任者を決めるべきか?様々な想定と丁寧な協議と契約締結が求められる。みずほFGは、システムを19年かけて完成させ、完成後システム人員を6割減らして、運用の失敗を招いて障害を起こしました。開発と運用は、システムの両輪です。ハグというものはシステムには付き物でなくせないです。運用でのバックアップ、復元力で対応していくしかありません。

SES基本契約
 システムエンジニアリング(SE)サービス(S)建設業でいう「人夫出し」契約。偽装請負にかからないように契約上の細かな取り決めがある。人を抱えるが、何をやるかは決めてない点に契約の特性がある。

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システム開発契約書 

ITシステム開発「契約」の教科書 第2版 単行本(ソフトカバー) – 2023/1/23 池田 聡 (著)

この本の著者 池田 聡弁護士先生は、みずほ銀行の出身でシステム障害を現場で体験された方である。

 契約書の中で一番重要な事は、債権債務を明確にするため開発の対象、金額、納期。また紛争に備えて、解決清算の指針となる条項に契約解除、損害賠償、管轄裁判所。そして開発を成功に導く条項に体制、責任者、作成物(承認方法)の条項。

 元みずほ銀行の池田弁護士も「システム開発の失敗事例の過半は、要件定義に問題があった為」と主張している。契約書には、「要件定義の承認には、システム開発会社(ベンダー)の承認も必要と明記すべきと。なぜなら、委託者に責任を一方的に押し付けられないようにするため。更にベンダには高裁が判示した義務がある。当事者の役割や行動に関する指針となるような契約書となるよう意識すべき。開発対象のソフトウェアは、要件定義工程によって決められる。

 プロジェクトマネジメント義務。判例で「常に進捗状況を管理し、開発作業を阻害する要因の発見に努め、これに適切に対処し、かつ、注文者のシステム開発へのかかわりについても、適切に管理し、システム開発について専門知識を有しない注文者によって開発作業を阻害される行為がされることのないよう注文者に働きかける義務」
 一方、ユーザーには「協力義務」かあり、従という関係ではない。ユーザーの開発に関する情報、知見、経験等によってベンダの義務が低減する非対称性がイメージ。いずれにしても、ユーザーからの積極的な情報提供や協力なしには、仕事が進まない。みずほ銀行統合時の最初のシステムトラブルも、情報提供を求めるベンダに銀行側は、「顧客情報だから教えられない」と拒否したという。

 そもそも要件定義が固まって、その工数を踏まえて見積もりを出せるので、多段階契約がメインで、一括契約は工数が固まっている例外と言えます。

債務は契約で発生し、履行されなければ債務不履行となります。システムが完成できない(履行不能)、遅れる(履行遅滞)などです。債務不履行と因果案系がある損害(通常損害)を損害賠償として請求できます。加えて予見すべきだった損害(特別損害)も賠償範囲となります。システム開発の契約書で、損害賠償の制限条項の扱いは、非常に重要なポイントです。そして債務の内容は契約で決まるので」、契約に書いていることを履行しないと原則契約解除事由になり、催告解除の対象となる。しかし軽微な不履行だと解除は難しい。

システム開発には、著作権が付き物。必ず契約書に扱いを記す。しっかりとした文言で条項を組み立てないと、権利関係の不具合が生じる。著作権の要件は創作性です。アイディアは特許権です。特許権は、特許の審査があります。特許の扱いも記載事項です。作成プログラムが特許になるのでしたら、所有権の扱いが重要です。下請けとの契約も元請けに著作権を移転する条項をいれてないと、ソフトウェアの完全な著作権を元請け経由でユーザーに移転できない。また著作権の共有は、自分で使うにも、譲渡、許諾にも共有者全員の同意が必要。ベンダからの著作権譲渡には、ソースコードも譲渡を受ける事。譲渡には当然ソースコードが入っている訳ではない。著作権の譲渡は、ただ著作権譲渡では、27条28条は動かない。ちゃんと27と28条を譲渡すると記入しないと完全な著作権は移転しない。あと著作人格権を行使しないという文言も必要。あと独占禁止法がらみで、「譲渡金額は、委託費に含む」との記述も必要。

 下請法・・・この法律はあらゆる業種にかかるのではなく、運送や倉庫の役務提供、製造、修理委託、プログラムの作成の委託という業種に限られて適用される。また会社の資本金がフィルターとなっている。3条書面の交付義務など記載項目を契約書に反映した方がよく(反映されなければ別の書面で3条書面を交付)支払いも、納品から60日以内となっていて、遅れれば遅延利息の支払い義務と役所から罰金、勧告措置、公表などペナルティーがある。その他書類の保存義務、禁止事項など細かく決まっている。

 その他、偽装請負(委託者の社員が、受託者の社員個人に指示命令してしまう事)に気をつけないといけない。指示命令系統を生じさせない

 ソフトウェアの開発委託契約書には、独立行政法人情報処理推進機構が作成した契約書がひな型として利用されているが、大手ベンダと大企業の取引に使われてきた。例えば重要インフラ、企業基幹システムなど大規模な案件を対象としている。なので中型、小型の取引には帯が長い(使わない条項が多数ある)

ソフトウェア開発基本契約書(多段階契約)
 基本契約+個別契約の構成。要件定義は準委任契約にあまり争いはないが、外部設計、システムテスト、導入受入支援、運用テストを請負にするか、準委任にするかで判断が分かれる。この本の著者は、ユーザーの立場で言えば、外部設計を準委任でその他は請負がいい。ベンダとしては、ユーザーの決定がないと仕事を完成できない導入受入支援、運用テストも準委任にするのが好ましい。

タイトル前文

目的(契約を紛争で解除する時に重要な要素)

定義 (本契約で用いる用語の意味を記す。一方が、そういう意味で使ってないとか解釈のすれ違いを防ぐ為)

個別契約 (基本契約に対しての個別契約。その個別契約のルールを記す。どちらが優劣か? また、個別契約には、作業項目・範囲、準委任、請負契約の表示、作業分担、作業期間、成果物、納入場所、納期、委託代金、その他必要事項を記載する。注文書、請負書でも良い。

運用条項 (準委任契約と請負契約のかかる条項を記す)

委託料及び支払方法 (いくら、いつまで、どういった方法でしはらうか?下請法の規制に注意。そして、ベンダの社員の必要経費はベンダの会社が委託料で払うと明記。偽装請負を疑われない為。それと支払の振込手数料の振り込む側の負担を明記。)

作業期間、納期 (始期と終期を明確に。いつから6か月?のどにならないように〇年〇月〇日~〇年〇月〇日まで。解釈の違い認識の違いが生じない表記の仕方を徹底)

再委託 (記載しなければ民法が適用され、請負は、再委託自由。準委任は、委託者の許可が必要。デザインとか全て一社でやらない。協力会社と組んで仕事を完成させるのが現実。ユーザーは情報漏洩などの防止の為の条項を追加しておく。再委託状況の把握とベンダに情報管理の徹底をお願いする条項。

協働と役割分担 (システムを作るときユーザーの判断がないと進めない項目が多い。デザインでも、何色にしますか? 青系にして見せて、褐色系がいいかな?こういう委託者と受託者のキャッチボールで作られていきます。協働作業が不可欠。委託者も必要な決定をしないで作業が遅延したら法的責任を負う形にもっていく条項を)

責任者 (会社によって組織や責任者の権限が様々。決めるのに誰に話を持って行き承認を得ればいいのか?この案金はあそこの課、これは別の課、いや越権!これはうちの課。では収拾がつかないので、開発責任者を契約で委託者側と受託者側で決めて開発を進めていきましょう。という体制、権利義務の明確化)

主任担当者 (サブリーダー。開発の規模により責任者の下に設置する)

連絡協議会 (意思疎通を活発にさせる定期的な会議。契約書で責任者出席で月何回開催すると決めておく。議事録作成が不可欠。何が決定事項か明確に共有する。誤解、すれ違いなどが、後々の紛争の種となる)

要件定義書・外部設計書 (契約書に固めておく事で、受託者はシステムの完成義務が生じ、委託者は、追加要件を軽々しく言えなくなる。)

課題管理 (双方の会社にシステム開発に関する課題が発生した場合、記録をし、解決に向けた責任者とスケジュールを管理する。問題が起きた時、放置させない条項

変更管理手続(システム開発が失敗する原因は、内部設計以降に要件定義、外部設計の不備が発覚して後戻りしてしまう事。変更する場合連絡協議会で委託者と受託者の合意を経て、増加工数分の対価を明確にして変更契約書を締結する。)

資料の提供・管理等 (開示ついて、善管注意義務、複写、返還についての取り決め)

開発環境の提供 (偽装請負とみなされない為に必要な条項)

秘密情報 (別契約で秘密保持契約NDAを最初に結んでからシステム開発の話に入る事も多いでしょうが、改めてシステム開発基本契約書でも条項を設けておくのがいいでしょう)

個人情報 (流失した場合のダメージが大きいので、契約書に明記し、損害の賠償という形にして細心の注意を喚起する。なるべき委託は避けて匿名化して授受するのがベストだろう。)

納入物の所有権及び著作権 (支払いと同時に移転する。という形が不払いというリスクに対処できる。委託者側としては、作成と同時に、もしくは納入日に移転が好ましい)

著作権以外の知的財産権 (システム開発に伴うアイディアから特許権などの申請ができる場合がある。受託会社の開発会社の単独申請するのか、両者で共同申請するのか、そして実施権の設定や対価など決めておくことが多数)

知的財産権の侵害の責任 (システムに第三者の著作権を侵害していた場合、第三者の承諾を得ないでソフトウェアを使って紛争になった場合、開発した受託者が責任をもつという条項)

セキュリティー (不正アクセスによる情報漏洩に対処するため協議して仕様を決定する)

権利義務の譲渡禁止 (受託会社が、無断で下請け企業に契約上の地位を譲渡して、契約関係から離脱されてしまうような事を禁止する条項)

解除 (無催告解除は、例えば不渡りを出して倒産しそうだが、解除条項がない為解除できなく、契約関係から離脱できない。履行が不能の時も無催告解除が契約にあれば可能。催告は不要でも、解除通知は必要。それと催告解除。契約違反に対して是正を求めて相当期間に是正がない場合解除ができる。催告がなければ解除できない。軽微な契約違反だと解除は難しい。軽微で解除するつもりなら、~違反は軽微な違反ではないことをお互いに確認する。みたいな条項が必要。
 ビジネス環境の変化や仕様の伝達漏れで、ベンダに仕様変更を求めた場合、ウォーターフォール型開発の場合、想定以上の金額と納期が示され紛争になる場合がある。その場合に仕様変更を合意できずに契約を解除する条項も入れておきたい。ベンダは契約通り開発すればいいが、ユーザーは完成させても契約目的を達成できなければ契約を終らせるしかない。解除してもそこまでの履行の割合に対して報酬は払う必要がある。算定基準をあらかじめ算定して合意して契約書に落としておけば紛争になりにくい。(アジャイル型なら仕様変更を想定しているので問題ないが、この開発のデメリットもある)

損害賠償 (システム会社の損害賠償上限条項はシステムにハグがあるという現実では仕方ないのかもしれないが、上限を契約書に定めても故意重過失の場合、裁判所はスルーされるので、注意が必要。委託者の側からすれば全額補償してもらいたいが、なかなか難しい。制限の種類など基準を設ける事も考慮に値するだろう)

反社条項 (一般条項として契約書に記載するのは努力義務として都道府県の条例に謳われている。)

契約の変更 (最初に契約した当事者の合意と書面に署名捺印が必要としておけば良い。現場責任者同士で変えられてしまうと契約が不安定になる)

裁判管轄 (専属管轄と記入しないと選択肢の一つと見做される)

協議条項 (紛争になりそうな状況でも、契約書に協議すると合意してるので、話し合いませんか?ときっかけを作る条項)

検収 (検収基準の明確な設定をあらかじめ決めておくことの重要さ。紛争の起きやすい見解の相違が現われる。手順、合格基準の明確化。ベイダ側に有利な、みなし検収条項も)

契約不適合責任 (検収完了後1年が一般的。記載しないと気が付かない場合、最長10年の時効まで引っ張れる。保守管理契約で対応するのが適切。契約不適合責任の対応にシステムのアップデートがしてなくてフリーズ原因だった場合、回復させる義務がない。仕様書との不一致が原因の場合は、契約不適合責任で無償で1年とか保守管理契約の中にいれて運用するのが現実的。不具合の全てを契約不適合責任の品質性能の不足でカバーできない。)

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システム開発契約書(考察④)

図解入門よくわかる最新ソフトウェア開発の基本 (How-nual図解入門Visual Guide Book) 単行本 – 2011/8/30 谷口 功 (著)

 ソフトウェア開発はビル建設に例えれる。しかし見えない分より難しい。

こんな建物がいいという要望を要件に落とし込み定義する。それを基に外部設計して・・・やはり「要件定義」ここがダメだと、下流で優れた技術を駆使しても委託者の要望にかみ合わずに失敗となる。失敗作を作ろうとして技術、時間を費やすプログラマーはいないかと・・・

プロジェクトマネジメントの基本が全部わかる本 交渉・タスクマネジメント・計画立案から見積り・契約・要件定義・設計・テスト・保守改善まで 単行本(ソフトカバー) – 2022/11/8 橋本 将功 (著)

 熟練プロジェクトマネージャー(PM)の書いた本。矢面に立つ精神的負荷が重い交渉。人間力が試される。無理な事は無理と伝えるプロの姿勢。リーダーシップ。

 要求を出す側はその要求がプロジェクト全体にどのような影響を与えるのかといった視点を持っていないのが通常。これは開発後半における追加要件の要求かな?

 見積もりは工数を見積もって、そこから費用とスケジュールを組み立てるのが鉄則。やることを細分化して積み上げ方式で見積もる。

 契約書は、プロジェクトを進める際の責任や義務について記載する重要な書類。トラブルが発生した際に最終的に法的な責任を問われるのは契約書の記載による。

 請負契約・・・成果物に何を書くかでプロジェクトの負担が大きく変わる。検収の定義、最終工程が終わり検収で法的に完了となり、後は契約不適合責任と保守契約に移行する。

 事故(インシデント)が起こった時にベイダーの執務室への立ち入り条項。この条項は、双方話し合いのうえ、慎重な取り決めが必要。

 この本でも要件定義の重要性を主張している。「伝える」というのはいろいろ工夫が必要。自分のイメージを図にしたりする 「顧客が本当に必要だったもの」という絵にあるように、自分の頭のイメージを相手の頭に同じイメージを伝えるのが、いかにたいへんか、そう割り切って工夫と熱意をもって伝えていくしかないと思う。

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システム開発契約書(考察③)

中小企業の「システム外注」はじめに読む本 単行本 – 2018/11/18 坂東 大輔 (著)

 この本はとても有益。はじめにでシステム開発プロジェクトの成功率は52%(日経コンピューター調べ)2回に1回は失敗すると。
 システム外注をするという事は、既存の自社業務の一部をIT化する事です。そう定義し、その業務の現状(AS-IS)をヒアリングする事。そこには暗黙知と形式知がある。業務フォロー図を描いてもらって(発注者の債務)、頭の中にしかない暗黙知にヒアリングを重視。

  そして自社システムのあるべき理想像「TO-BE」を意思決定してもらう。これは発注者にしかできない作業。そしてRFP(提案依頼書)を作成。ウォーターフォール型が主流で、試行錯誤を前提としているアジャイル型。発注者もやること、決断する事が沢山。

  必ず何らかの伝達ミスや誤解が生じます。あらかじめそういう前提で何度もチェックやすり合わせを行う事が大切。「入力がゴミなら出力されてくるのもゴミ」より正確な伝達に努めよう。なるべく明文化、図評化で。後からの要件追加は混乱します。開発も戻し、時間と資金と労力がかかり追加費用となります。

 一度契約してしまうとベンダーの方が、立場として上になってしまいます。プロジェクトマネージャー(PM)との面接は必須。目が死んでゾンビ化してないか、お見合いに似ている。

 委託者がやるべき事は、法律や判例で決まっている。新システム企画書、業務フォローズ、要件定義書、RFI、RFP、進捗管理表、課題管理表、UXテスト用チェックリスト、レビュー用資料、受入テストチェックリスト、社内説明会資料、システム運用マニュアル

 RFP・・・発注者の希望する(TO-BE)を形式知としてまとめ上げた資料。新システム開発の全体像、提案してほしい内容、スケジュール、予算、契約条件など

 要件定義書・・・ベンダーと準委任契約を締結して二人三極で作り上げます。ここが失敗すると以後の工程がドミノ倒しのごとく総崩れになります。

  システムは運用保守が99% 開発に成功した後が大切。

 そして契約書。「ビジネスとは契約そのもの」お互いの行動の指針とするため、契約に基づいて様々な業務が遂行される。契約が根拠となる。契約当事者の意思を明確に表示し、責任の範囲を明確にする。

 システム開発の失敗率は50%で、その失敗の50%は要件定義。何冊か読んでいるが、やはり委託者側に原因がある場合が多い気がする。システム開発のプロと話がかみ合わないのは、知識量の差だと思う。知識差がある場合にこの本はとても有益。

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システム開発契約書(考察②)

動かないコンピューター ― 情報システムに見る失敗の研究 単行本 – 2002/12/6 日経コンピュータ (編集)

動かないコンピューターが発生した11のパターン

1. ソフトの不具合を修正できず
2. 開発を請け負った企業の業務知識が不足
3. 導入計画に無理があり、システムの仕様が不完全
4. 出来上がったシステムを確認する検収作業が不十分
5. 開発を請け負った企業の指導が足りず、顧客がシステムを運用できず
6. 顧客企業にシステム専任要員がいない
7. 利用したパッケージ・ソフトが業務に合わない
8. 顧客企業と開発を請け負った企業の役割分担が曖昧、契約も不明確
9. システムを運用するための基本的な準備が不足
10. 顧客の社内及び開発を請け負った企業との人間関係のこじれ
11. 開発を請け負った企業の担当者が交代あるいは退職

 業務のやり方をどうシステム化するのかをハッキリさせないと、「何をしたいのか」を曖昧にしたままシステムを開発しても失敗に終わる。どんなシステムを作るのかを決める要件定義。この最初の作業が一番大切。開発の失敗の半分は最初の要件定義。

 設計開発。システム会社の社員は、委託者の会社の業務、すなわち仕事の進め方について知らない。大まかな流れを図に書いて、かつ現場の要望も吸い上げないと使い勝手の悪いシステムが出来てしまう。

 テスト。各プログラムを合わせて、ちゃんと動くか?所定のテストを時間をかけて全て行わないとリスクが大きい。発見できない不具合もある。そこは保守運用でカバーされる。保守とは業務の変化に合わせてシステムを修正していく面もあります。

 運用。 実際に運用する現場の担当者に操作方法を教える。システム障害に備えた対策。ソフトに不具合は付き物です。

 システムの成功率は約50%で、失敗の50%は要件定義である。委託者と受託者のコミュニケーションがなにより大事。委託者には「協力義務」受託者には「プロジェクトマネージメント義務」があり協業作業そのものです。委託者の多数の業務部門にまたがるシステム開発に、各業務部門の意思が統一されてなければマズいです。委託者側の意思疎通、委託者と受託者の意思疎通、受託者側の意思疎通(元請けと下請け)

 現場は協力的か?こちらは仕事の進め方、やり方(商慣習)があるから、掻きまわされたくない。という感じで非協力的になる場合もあります。現場の暗黙知を含めないと使い勝手の悪い使えないシステムが出来てしまう。「要望」を吸い上げて「要件」として定義して慣れれば使いやすいシステムを作れば成功である明文化されてない要望を察知して適切なシステムに落とし込む技量(仕様書の行間を読む)なかなか委託者が本気にならないと受託者も本気にならないのでは・・・

 担当者の突然の異動、退職は開発にダメージを与える恐れがあります。この本にはいろいろな失敗例が載っています。最近の事例は、以下

日経コンピュータ「動かないコンピュータ」 | 日経クロステック(xTECH) (nikkei.com)

 こういった現実を知らなければ、おそらく自分の常識を優先してしまうのでしょう。支払う側なのになんでこんなに動かなくてはならないの? 受託者側の義務として、委託者にわかりやすく説明して要件定義など開発を主導する義務があれど、委託者側が非協力的だと成功しないでしょう。更に知識量の差から意思疎通が停滞し、人間関係が悪化。開発の失敗につながる。それで委託者は損害賠償を考えて弁護士に相談。損害の立証の為システム開発の失敗事例を研究。「あっ無理だ。」と裁判を諦める。この本は20年前に発行された事例なので、もう現在はこのような事例はないかと思いたいです。

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