契約書で痛い失敗2

 不動産の賃貸借契約を交わした出来事。部屋を借りようとネットで調べ、内見依頼して対応してくれた不動産会社の営業マンは、感じ良く接していただいた。

 ハキハキして清潔感もあって親切で!それで、内見をして気に入った部屋を借りる契約を申し込む事となった。数日して承諾となって、契約を結びに不動産仲介会社を訪ねた。

 お茶も出してくれて、準備された製本された契約書を「ご確認下さい」と出された。隅から隅までよく読んだ。ささいな誤字はあったが、重説といわれる「契約上の重要な事項を宅地建物取引業法第35条にもとづいた説明」を受けて署名捺印をした。

 そしたらその営業マンが契約書をパラパラめくり「ハッ」と失敗したような表情を作り、「スミマセン印刷ミスがありまして」と製本した契約書をバラシて、パソコンからプリントアウトし始めた。ミスが何か所もあり、その営業マンは「スミマセン、入居日に製本してお渡します」と言ってきた。印象が良かったせいか、「わかりました」と承諾して帰路についた。

  それで、入居後しばらくして賃貸契約書を何気なく手にして読み返すと、なんと「読んだ事ない条項が追加されていた」つまり「差し替え」にあったのだ・・・・・

 ここを読んだ方と共有してほしい自分の失敗を記します。

 まず署名捺印したら、必ず控えを持ち帰る。あといくら感じが良くても、挨拶が大きな声でできても、親切で清潔感があっても、ミスをしたふりをして誠心誠意謝ったフリをして、契約書を差し替える人がいるって事を共有してほしいです。

 人は人を信じたいという欲求があります。しかし、契約には作法があります。まず営業マンは印象よくて当たり前。契約は終始冷たい心で冷徹に行うべきです。製本してない契約書には、ページのつなぎ目ごとに契印を。製本してあれば前後の製本テープと表紙、裏紙の境に契印を。あと捨て印は押さない。捨て印は全部手書きで契約書を作っていた時の作法です。今はすぐにプリントアウトできますから、作り直して下さい。

 どんなに感じ良く接してきた営業マンでも、隙を見せてはいけない。署名捺印して、控えを持ち帰らないというのは、やっちゃいけない事。仮にそれが2人かかりで上司と部下で、親切に接してくれた営業マンがミスして、上司に目の前で怒られて、2人で頭を下げて、「入居日に契約書をお渡し致します」ってやられても、「いや控えができるのを待ちます」と跳ね返さないといけない。

 これは、いくらこちらが有利な契約書を作っても、最後のとこで小芝居に引っ掛かり、契約書の差し替えにあったら、全てひっくり返ります。また、差し替えにあっても、相手側が「(差し替えた)契約書が全てです。書かれていることにお互い納得して合意して署名捺印したんじゃないですか?」と居直られたら、もはや応戦できません。

 裁判でも主張する者が立証する責任があります。信用したので証拠を残していません。立証する術はなく敗訴確定です。まさか、よもや差し替えられるとは・・・

 契約の作法(契約の進め方)の大切さ。真剣勝負です。確認、確認、確認。相手が印象いいかどうか関係ない。ちゃんとすべき事はする。おかしな事は、冷静におかしいと訂正を求める。納得できないなら辞める覚悟で気合を入れて臨むべきです。

 

 

契約書で痛い失敗

 20年以上前の出来事。札幌で大学に通い、引き払って千葉に戻る時、引越屋を利用した。
 当時テレビCMを沢山流していた地元の引越業者に電話をしてみた。そしたら、とにかく見積もりだけさせてほしい。無料なので、無料なので・・・テレビCMしてる会社だから信用あるだろうと安易に考えていた。

 それで見積もりをお願いして、総額73.800円、中年の男性は、「えっー端数を割引しましょう!」苦い表情で70.000円と契約書みたいな黄色い紙に、決定金額70.000円と書いて置いていった。そしてよく読んだ。当日キャンセルなどお金が沢山かかるような事が書かれていた。それで内容を理解し、業者に「お願いします」と電話した。

 そして引越当日。男性従業員2人で来た。最初にお金を払おうとしたが、「後で受け取ります」との事。順調に荷物の積み込みが進んだのだが・・・荷物がカーゴに入らないとの事。どこかに電話していて・・・な・なんと、

 追加料金として30.000円必要との事。入り切れない場合は、追加料金がかかるなどの文言は契約書に書かれておらず、おかしい事をおかしいと言える勇気も知恵もなく、「そういうものなのかな?」「もし契約解除になって、トラックに積んだ荷物を一人で下ろすのはたいへんだな・・・」「また別の引越屋を探して依頼するの面倒だな。」「当日飛行機で帰るつもりだったから、時間がないな。」「布団を積んだからカプセルホテルに泊まるのか?」

 いろいろ受け身で考え、払う事にした。「ATMで下ろすので待ってて下さい。」と言ったら、「時間かかります?」と言われる始末。払ったら払ったで、「領収書は荷物といっしょにお渡しします。」との事で領収書も置いていかず去って言った。

 契約書を読んで理解したつもりになっていたが、契約書の何たるかを理解していなかった。今なら、こう対処する。

・契約書に決定金額と書いてあるので、決定金額で運んで下さい。決定料金を記して追加料金を請求するのは、債務不履行ですよ。また見積もりと実際の金額の差異は、見積もりをした社員の責任なのでそちらの会社内で処理して下さい。

・債務不履行で契約を解除するのなら、(民法121条の2)現状回復義務があるので、荷物を元の場所に戻して下さい。と主張できる。

・いきなり請求されてすぐに支払わない。まず見積もりをした社員と話すべきだった。ましてや領収書を書かないなら、民法486条の受取証書の交付請求権、交付義務。あと支払と領収書は同時履行抗弁権が民法533条にあるので突っぱねられた。

 支払った後、見積もりをした社員と電話で話したが、謝るのみで、見積もりをすれば会社から2.000円を支給されるので、それをお返しします。との事。郵便貯金の口座番号を伝えたが、振り込まれず。

 最初から、札幌から関東など遠いとこに引越す20歳過ぎの客には、あらかじめ安く見積もりをして、わざとらしく苦い顔で端数を負けてあげて、引越当日に荷物をトラックに積んだ後、追加料金を請求する段取りだったのでは?まだ子供なら法律など詳しくもないだろうし、交渉力も非力だろう。なお、布団など積み込めば、すぐ帰るだろうし、予定を変更してホテルに泊まって3~4泊すれば赤字だろうから、泣き寝入りだろう・・・

 「契約書を読んで理解する」とは、権利と義務を受け入れ、主張すべきは主張して初めて理解したと定義すべきだと思います。

 内容を理解していても、主張すべき事を主張できず、相手の言いなりになってしまうと、上記引越屋にやられたように、いいようにやられてしまいます。

 こういう自分の過去の苦い経験から、契約書審査(リーガルチェック)契約書作成業務をメイン業務として研鑽を積んでいきます。ご用命はお問合せからお願い致します。

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