著作権譲渡契約書

著作権情報センターによると
著作権は、著作者が著作物を創作したときに自動的に発生します。したがって、権利を得るためにどんな手続きも必要ありません。

著作権法では、著作物を「思想又は感情を創作的に表現したものであって、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」と定義しています(著作権法第2条第1項第1号。以下、著作権法の場合は条文番号のみを記述します)。
「思想又は感情」を表現したものとされていますので、単なる「事実」を表現したものは著作物ではありません。また、ここでいう「思想又は感情」とは人間固有のものですので、例えばサルが書いた絵や、AIが作った音楽などは著作物とはなりません。
次に、「創作的に」とは、創った人の個性が多少なりとも表れていれば著作物であるとされています。ですから、幼稚園児が描いた絵や、小学生が書いた作文なども立派な著作物です。一方で、他人が創った著作物をそっくりまねたもの、例えば『モナリザ』の模写は、どんなにそっくりに描かれていたとしても、描いた人の個性が表れているわけではありませんので、複製物でしかありません。また、誰が表現しても同じようになってしまうような《ありふれた表現》も、創作的な表現とはいえません。
それから、「表現したもの」とは、頭の中にあるイメージやアイデア、あるいは技法などは著作物ではなく、作品として具体的に表現されて、はじめて著作物となり得るということです。例えば、スポーツのルールは、それ自体は著作物ではありません。ただし、そのルールを、工夫をこらして説明した解説書は、著作物になり得ます。
最後に「文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」とありますが、著作物を類別し例示すると下の表のようになります

まず(目的)。譲渡する著作物を具体的に詳しく記載する。

(保証)本件著作物が、譲渡人の創作による完全な著作物である事と本件契約を締結する充分な権利と能力を保有している事を保証する。そして、第三者から将来、不利な要求が起こらない事。起きた場合は責任をもって対処する事を保証する。(後半の条項は譲渡人の立場からは削除する)

(譲渡の範囲)複製権、出版権、録音権、上映権、演奏兼、公衆送信権、伝達権、口述権、貸与権、そして著作権法第27条および第28条に規定する権利。一切の支分権及び著作権に基づき発生するいかなる権利も含む。

(協力義務)移転登録に必要な一切の時効に協力義務を負うものとする。

(著作者人格権)本件著作権に関して著作者人格権を行使しないものとする。

(著作権譲渡の対価)(権利の侵害)(契約上の地位の承継)(誠実協議)(合意管轄)

著作権の取引に注意しなくてはならない点が2つ。

① 著作権法第61条第2項の規定がある。「著作権を譲渡する契約において、第27条又は第28条に規定する権利が譲渡の目的として特掲されていないときは、これらの権利は、譲渡した者に留保されたものと推定する。
 「著作権を全て譲渡する」と契約書に記述しても、著作権法第27条および第28条に規定する権利を記述しないと「27条の翻訳権、翻案権等と28条の二次的著作物利用に関する原著作者の権利」は譲渡移転しない。なので「著作権法第27条および第28条に規定する権利を含む一切の著作権を譲渡する」と譲渡契約書に記述しなくてはならない。

② 著作者人格権 この権利は、著作者だけがもっている権利で、譲渡、相続ができない。つまり著作者本人から動かせない権利。3つの権利から成る。「公表権、氏名表示権、同一性保持権」著作権を譲渡されても、著作者に人格権を行使されると譲受人としても面倒です。なので「著作者(譲渡人)は、著作者人格権を行使しない」という規定を契約条項に置く事が大事。

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著作権利用許諾契約書

 (利用許諾)対象、範囲を明確に定める。著作物名、著作者名等を明確に特定しておく。範囲についても、利用目的、許諾が一部ならその旨、利用可能地域、独占か否か等について明確に規定しておく。認識の齟齬は紛争の導線となります。

(利用料)本著作権により得られた売上金額の%。

(報告)売上金額等の利用料の基礎となる数字を毎月、例えゼロでも報告させる。

(譲渡及び再許諾)譲渡、転貸は禁止としておく。契約外の第三者には、契約の取り決めが及ばない。担保にするのも禁止しておく。担保にすると債務不履行で権利の移転が起きる。再許諾は、事前に書面による許可が必要とする。書面と表記しないと「言った言わない」になる。基本は、禁止が好ましい。

(第三者による侵害)許諾を受けた側が、侵害を発見した時は、許諾者に通知する取り決め。

(第三者の権利侵害)許諾者は、著作物に関して第三者の権利を侵害していないことを表明し保証する。また許諾を受けた側から、第三者が著作権の侵害を発見し通知を受けた時は、許諾者の責任と費用で解決にあたるものとする。そして許諾を受けた側は、契約を解除して損害賠償を請求できる。許諾者側有利な条項なら、下線の黄色線はいらない。

(資料の貸与等)許諾を受けた者が、原稿、原画、その他参考資料を貸し出す条項。改変を許可するなら、著作人格権を行使しないと記す必要がある。

(著作者表示)利用にあたって著作者を表示しなくてはならない。

(有効期間)意思表示がなければ自動更新にするか終了にするのかは、双方の要望次第。

そして、秘密保持、反社条項、解除、協議、裁判管轄

(契約終了後の措置)在庫が残った場合、契約終了後の一定期間、売る期間を設ける条項。この条項がないと、契約終了後は、在庫の販売ができない。

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特許権譲渡契約書

(対象物件)特定が必要。最新の特許登録原簿を入手して当該特許が有効に存続している事を確認する。維持費を滞納して登録が消えている場合がある。

(対価及び支払方法)譲渡対価を税込みで、振込口座を記入する。

(登録申請手続き、費用及び特許料の負担)支払い後に特許権の移転登録、名義変更の必要な書類を交付して必要な協力をする。その手続き費用は譲受人が負担して、特許の維持費は、決済日又は契約締結日の前日までは売主、当日以後は買主の負担として清算する。

(不争義務)売買対象の特許の有効性を争ったら、契約を解除して損害賠償を請求することができる。

(表明保証)本特許権が契約締結時に、質権、専用実施権、通常実施権の権利が設定されてないことや第三者と紛争が生じていなうことを表明し保証する。また特許の無効事由が存在しないことも明し保証する。(譲渡人の知る限りにおいて)

(秘密保持義務)、(協議)、(合意管轄)

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特許通常実施権許諾契約

契約書のツボとコツがゼッタイにわかる本[第2版] 単行本 – 2020/3/24 萩原 勇 (著)

ライセンス契約で、特許権者(ライセンサー)特許の許諾使用者(ライセンシー

特許の「実施」とは、特許が「物の発明」の場合は、その物を生産、使用、譲渡、輸出、輸入する等の行為、特許が「方法の発明」の場合は、その方法を使用する行為、特許が「物を生産する方法の発明」の場合は、その方法を使用、その方法により生産した物を使用、譲渡、輸出、輸入する等の行為を指します(特許法第2条第3項)。

 そもそも特許権者は、業として特許発明の実施をする権利を「専有」していて他人が無断で特許発明の実施をしている場合は、特許権侵害として、差止請求等の権利行使をすることができます。その為特許発明を実施したい第三者は、特許権者から実施の許諾を受ける必要がある。

 通常実施権の「通常」とは、特許法上、実施許諾権は「専有実施権」と「通常実施権」の2種類が定められていて、通常実施権は、更に「独占的通常」と「非独占的通常」に分かれている。実質3種類の実施権がある。

 専有実施権は、物権で不動産で言えば地上権なようなイメージで、「登録」が必要で特許権者は、他の人に実施権を設定できない。専有実施権者のみの許諾になる。また特許権者が自ら実施することもできない。また特許侵害者に対して、自ら差し止め請求や損害賠償をすることができる。

 通常実施権は、「独占的通常実施権」と「非独占的通常実施権」に分かれていて債権という位置づけ。独占的通常実施権は、登録は不要で契約条項で、特許権者の自己実施が可能となる。差し止め請求はできないが、特許侵害者に損害賠償はできる。一方の非独占的通常実施権は、同一の内容の通常実施権を何人にも許諾でき、何ら独占されてない権利。商標権で言えば、コンビニの看板やロゴは、非独占的通常実施権。この実施権は、契約条項がなくても特許権者が自ら実施できる。また侵害者への差し止めや損害賠償ができない(特許権者が行う)

 契約条項、まず(定義)特許の特定は、「出願番号、特許番号、発明の名称。」本件製品、「何を作る為に使うのかと特定」正味販売価格、改良技術(本特許を使って発明)

(実施許諾)許諾の種類と許諾地域。例えば非独占的通常実施権を国内のみに限って許諾するなど。

(対価)一時金イニシャルペイメントと継続実施料ランニング・ロイヤリティーを組み合わせるのが一般的。そして集計の期間と支払期日の特定。例えば毎月末日に集計を締めて、翌月末日までの支払い。加えて、支払いがされなかったときの遅延損害金の設定。

(実施報告)販売量や売上を報告する条項。実施料の基となる数字なので、監査の取り決めもする。誤差が許容範囲に収まれば、監査費用は特許権者が支払、超えてしまえば実施者が払う。

(対価の不返還)特許は取り消されたり、無効になったりする場合がある。また、対象特許が製品を作る上で関係なかった事が後々に判明する場合がある。その時にこの条項がないと、利息を付けての返金を迫られる。

(保証)特許権者が第三者の特許を侵害していない事を保証する。又は、保証しない。そして実施者の製品が、第三者に損害を与えた場合、法的、契約上の責任を負わない。など

(特許維持)特許は維持費がかかり、支払日から6ヵ月過ぎると失効してしまう。また、特許侵害者に対して差し止め請求を特許権者がしなくてはならない。契約条項で実施権者にさせる事もできる。

(第三者の権利侵害)特許権者と実施権者が協力して対処する。侵害を発見した場合の報告義務と協力義務。」そして費用負担の取り決め。

(改良技術)実施者が実施している特許に係る発明をして、特許出願する場合の事前通知義務と実施者が特許をとった場合、合理的な条件で実施を逆に今の特許権者に与える取決め。ここはエグイ条項を入れると独占禁止法にかかる。例えば、実施者の所得した新特許の譲渡義務。特許権者の特許を基にしてとった特許なのでよこせ。不公正な取引に該当する場合がある。

(表示)ディズニーのキャラクターグッツに付いてるようなシールやガンダムのプラモデルの箱にサンライズというシールが付いているイメージ。

(特許権の譲渡)特許権者の特許を第三者に譲渡する場合は、事前に実施者に通知する事。不動産の賃借人のように通知を受けた新たな家主に、家賃を払えば解決という訳にはいかない。特許権者から実施者に技術指導などが行われ、その対価も含んでいれば、新たな特許権の譲受人に支払を変えればいいという訳ではない。ここは丁寧な取り扱いが必要。

(不義務)実施者が、この特許は無効だ。また、有効性を争ったら、この契約は終了します。という条項。

後は、反社条項、解除、契約期間(終了後に残った特許製品の販売は〇か月まで)合意管轄

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知的財産に関する契約

取引契約条項別の文例作成とチェックポイント─債権法改正等に対応した契約担当者の実務─ 単行本(ソフトカバー) – 2020/8/10 経営法務フォーラム (編集)

 知的財産に関する契約は、他の民法を土台とした契約と違って「知的財産基本法」と「判例」を踏まえて作成する必要がある。

 まず知的財産の定義。知的財産基本法第二条 で「知的財産」とは、発明、考案、植物の新品種、意匠、著作物その他の人間の創造的活動により生み出されるもの(発見又は解明がされた自然の法則又は現象であって、産業上の利用可能性があるものを含む。)、商標、商号その他事業活動に用いられる商品又は役務を表示するもの及び営業秘密その他の事業活動に有用な技術上又は営業上の情報をいう。

 人間の「知的活動」によって生み出されたアイディアや創作物などには、財産的価値を持つものがある。そうしたものを総称して「知的財産」と呼ぶ。法律で規定された権利や法律上保護される利益に係る権利として保護されるものがあり、それらの権利を「知的財産権」と呼ばれる。それらは、特許権、実用新案権、育成者権、意匠権、著作権、商標権その他の知的財産に関して法令により定められた権利又は法律上保護される利益に係る権利をいう。

 もう少し柔らかく表現すると、知的財産は、脳によって生み出される情報。目に見えない考えで形がない。その考えを形にすると複製される性質がある。なので法律で定義して、手続きによって可視化(創作物、標識、ブランド、営業秘密、ノウハウ)して保護して活用していこうという趣旨。知的活動の保護が目的。

 知的財産法とは、無体物を創出した者に認められる、物の所有権に類似した独占権です。 特許権・実用新案権・商標権・意匠権・著作権等があります。それぞれ独立した法律として特許法、実用新案法、 意匠法、 商標法、 著作権法、不正競争防止法がある。

特許権・・・技術的なアイディアを文章などで表現して書いた書類を特許庁に申請して審査の後、言葉で表現された範囲に独占権が発生する。(独占禁止法が適用されない。運用でエグイ条項を入れると適用される。)

では、そもそも「特許」とは、それは「高度な発明が対象」物、製造方法、それ以外の方法でコンピュータープログラムなど。20年の保護期間。「新規性と進歩性」を審査されて通ったら権利が発生する。出願して審査請求して審査が始まる。審査請求を5年位引き延ばせる。

次に「実用新案」発明ではなく、「考案」を保護する。発明ほど高度ではないが、保護の対象。物品の製造、形状、それら組み合わせを保護する。特許のような「方法」は保護できない。技術的なアイディア。プログラムは対象外。ほぼ必ず登録される。保護は10年間。出願されたら全て権利が発生する。審査がないので信頼性や安定性が、特許に比べると弱い。なので特許庁に技術評価の審査を請求できる。審査の後、新規性、進歩性を踏まえて技術評価書を所得できる。新規性、進歩性がなければダメ。

意匠はデザイン。商標は、事業者が、自己(自社)の取り扱う商品・サービスを他人(他社)のものと区別するために使用するマーク(識別標識)です。著作権は、「著作物」を創作した者(「著作者」)に与えられる、自分が創作した著作物を無断でコピーされたり、インターネットで利用されない権利です。権利の束。

 知的財産は経営資源。実施権(特許発明を実施するための権利(ライセンス))を契約して特許を使わせて対価を得たり、売買したりする。民法が土台の契約だと、契約に書かれていない事は、民法や民法の特別法で処理されるが、知的財産に関する契約は、判例が多用される。裁判も知的財産高等裁判所という専門的に扱う裁判所がある。

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